昨年のU18ワールドカップのメンバーだった高卒新人、楽天ドラフト6位西巻賢二内野手(19)の現在地に潜入した。日本ハム清宮幸太郎内野手(19)と同期生ルーキーは、1歩1歩、1軍主力への道を進んでいる。

西巻は「ドラフトにかかるか、不安だった。周りの清宮、安田はすごく騒がれていて」と1年前を振り返る。167センチ、68キロと小柄な体で、楽天入りをつかんだ。「今もまだ清宮なんかは、連日騒がれている中で結果を出すからすごい。2人とはタイプも違うし、僕は特に騒がれませんし。プレッシャーなく出来ています」と今の立ち位置を冷静に分析する。

高校時代は名手、高校NO・1遊撃手との呼び声が高かった。プロでは、打棒で存在感を示す。打率は清宮、安田を抜く2割6分5厘をマーク。8月8日に、今季2度目の1軍昇格を果たすと、出場21試合中、19試合で先発出場だ。同24日からは、2番に座る。茂木、藤田と内野陣が故障の状況もあるが、高卒1年目とは思えない信頼感をつかむ。

秘密は、高い「対応力」にある。幼少期の趣味はルービックキューブ。「小さいころは、2分で全面をそろえることが出来ましたね。今は5分くらいかかりますけど。もう特技ではないです」と謙遜するが、並の人間ではない。1年前には、見たこともなかったプロの150キロを超える速球やキレ味鋭い変化球。「徐々に慣れてきました」といえる柔軟さがある。

野球以外の習い事は、そろばんだった。すさまじい空間把握能力に、計算能力が加わった。入団後、これまでバットのモデルを約4本変更。現在のものは、約870グラム。「この時期は雨も多いので。湿気で微妙に重くなることもある。重すぎると振れませんし」と19歳とは思えないほど、冷静に状況を見極める。

平石監督代行も「彼の場合、入団前は守備がすごいといわれてきたけど、打撃もいいと思っていた。将来的に1番を打つかもしれないし、3番を打つかもしれない」と高い期待を寄せる。清宮、安田とは違う空間を歩む。高い対応力で、自らの生きる空間を把握している。【栗田尚樹】