日本ハム加藤が先発復帰後、初白星を挙げた。淡々と、打者の懐をえぐる。本来の調子を取り戻した。「緊張はあったんですけど、全力でぶつかっていくことしか考えていなかった」。首位西武打線を7回2安打無失点。フォークを低めに集め、6三振を奪った。7月8日ロッテ戦以来、約2カ月ぶりの先発マウンド。ひょうひょうと5勝目を手にした。

逆転優勝へのキーマンとして、白羽の矢が立った。強力打線の西武だが、前日4日までは左腕が先発だと15勝15敗と苦手としていた。特に中軸を担う中村は、対右腕は打率2割9分7厘も、対左腕は1割3分と著しい。これ以上、優勝争いから引き離されないためにも、経験豊富な左腕加藤が投入された。不振により8月4日西武戦から、中継ぎへ配置転換。8試合を経て、大役を背負い、先発に戻った。

栗山監督は「いろんな思いが、加藤の中にはあったと思う」と胸中をおもんばかった。ルーキーイヤー以来2年ぶりにリリーフにまわった。2番手、3番手でマウンドに上がり、チームの4つの白星に貢献し、敗れた4試合も経験した加藤は「やることは変わらない。これからも1日1日を大事に練習していきたい」。首位をたたく価値ある勝利の喜びを、控えめに受け止めた。【田中彩友美】