広島から国内フリーエージェント(FA)宣言した丸佳浩外野手(29)が11月30日、巨人移籍を表明した。

30年ぶりに球界トップの打者が移籍した。丸は今季の成績が打率リーグ14位、本塁打同2位だったが、打者の攻撃力を表すOPS(出塁率+長打率)という指標ではリーグ1位の10割9分5厘。パ1位の柳田(ソフトバンク=10割9分2厘)も抑え、堂々の12球団1位だ。OPSが両リーグ1位の選手が同年に移籍するのは、88年オフに門田博光が南海からオリックスに移って以来となった。

今季の丸がOPSトップとなった要因は長打率の高さ(リーグ2位)ももちろんあるが、断トツの出塁率の高さが挙げられる。今季は18試合の欠場がありながら、130四球。シーズン130四球をマークしたのは4度記録した王貞治(巨人=65~67、74年)以来史上2人目。特に敬遠を除いた四球は歴代最多の122個。抜群の選球眼で、高い出塁率をマークした。

四球の多さは今季に限らず、毎年高いのも強みだ。1軍デビューした10年以降の四球割合を見ると、規定打席に到達したシーズンはすべて10位以内で、リーグ平均を下回った年は1度もない。通算でも4000打席以上の選手では歴代5位。王、落合、松井や清原、江藤らそうそうたる強打者の中に名を連ねている。

安定した選球眼の高さに加え、今季は39本塁打と長打力でも存在感を発揮。マツダスタジアムよりも本塁打の出やすい東京ドームが本拠地になることで、さらなる本塁打増加も予想される。新天地でも、本塁打だけでなく四球も選ぶこれまで通りのスタイルを貫くことができれば、30年ぶりに移籍の「大物」も実力を発揮できるだろう。【多田周平】