星空が消えかかった7日朝6時半、19年の始動となった早朝練習が終わり、明大のプロ注目右腕・森下暢仁主将(3年=大分商)が「おぉ、明治~♪」と切り出した。部員全員で校歌斉唱をしていると、暗がりから人影が現れた。阪神平塚スカウトだった。同校野球場がある東京・府中市は、まだ日の出の20分前。気温2度の寒さをかき消す熱意の、年始あいさつだった。

同校OBでもある平塚スカウトは「森下君はまだリーグで9勝しかしていない。潜在能力はすごい。これから次第」と話すにとどめた。ただ「大学生では1番かも」とした日本ハム大渕スカウトディレクターをはじめ、訪れた西武、DeNA、巨人は一様に高評価。細身ながら身体能力が抜群で、最速151キロをたたき出す。今秋ドラフト1位候補といえる存在だ。

森下も意識する。「ドラフト1位で行きたい、じゃなくて、1位で行く!という気持ちでいます」と強い表情で明言した。そのためにも、まずは春のリーグ戦だ。善波達也監督(56)も「秋じゃないぞ、春だ。圧倒的な力を出してほしい」と鼓舞。「はい」としっかりうなずいたエースが講義に出かける頃、街はもう明るかった。【金子真仁】