西武からFA移籍した炭谷銀仁朗捕手(31)が11日、館山市内で自主トレを公開した。7日から同地で走り込み中心のメニューで本格始動。この日で打ち上げ、宮崎・南郷での第2自主トレに移行する。投手の女房役を務める捕手の移籍は開幕までの準備が多岐にわたる。グラウンドの司令塔としてのサインの確認や、初めてバッテリーを組む大半の投手の特徴を把握する必要もある。待ち受ける春季キャンプでの「捕手道」について炭谷本人が深掘り解説した。

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新しいチームメートとのコミュニケーションは必要不可欠となる。「コミュニケーションという部分で、2月のキャンプインからオープン戦の中くらいまでが勝負だと思う。32歳だし、FAで移籍してきたから若い選手たちは気を使って話せない場合もある。だから、こっちから行かないととは思う」。門戸は自ら開き、歩み寄る姿勢が重要だと強調した。「ある程度の野球の話は必要ですけど、それ以外の部分ですね。野球以外の部分の話をしっかりした方が、相手がどういう人か分かる。そこからじゃないですかね」。

投手の特徴を把握するのはグラウンドやブルペンだけではない。食事会場や大浴場での行動、傾向も注視する。好物は何か。ビュッフェスタイルであれば、どう盛りつけるのか。「そういうところからこっちは見ますし、それに対しての会話もできるし。全部がヒントになる。ホンマっすよ」。大浴場のサウナもコミュニケーションの場所になる。「もちろん大事。だからサウナに5時間ぐらい、いるかもしれないです」と“裸の付き合い”も歓迎した。

主人公というよりは引き立て役に徹することが捕手道の1つでもある。だが、自身としての大きな目標もしっかりと胸に刻む。「経験の中で、あくまでも目標」とした上で全試合フルイニング出場を掲げる。「僕がその目標を諦めるというか、無理だなと思った時点でもう選手である資格ない。捕手である資格ないなと思う。今までもそういう気持ちでやってきた」と挑戦する姿勢が活力になる。

ただ近年の球界では捕手併用が一般的で“難易度S”ランクの目標設定になる。「状況もありますけど代走を出されたり、疲れてて点数が開いてるから代わろうかとか、いろいろあると思うんですけど、その中でもトータル的な部分で打撃もそうだし、投手からの信頼もそうだし、1試合1試合、勝てるようなゲームづくりするのもそうだし『銀仁朗に任せといたら大丈夫だ』と思われる信頼もそう。トータルでほかの捕手より上回らないといけない」と力説した。

新天地で主戦として扇の要を期待されている炭谷が、開幕へ向け、グラウンド内外で着々と準備を進めていく。【為田聡史】