日本ハム王柏融(ワン・ボーロン)外野手(25)が来日初アーチを架けた。16日、沖縄・国頭で行われた紅白戦に「3番左翼」でスタメン出場。4回の第2打席に、バックスクリーン左へソロ本塁打を放った。2次キャンプ地・沖縄での初戦、日本のファンの前での“デビュー戦”で「台湾の大王」の片りんを見せた。

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白い歯を食いしばり、打球の行方を見つめた。4回の第2打席。観衆の拍手を浴び、王柏融が名刺代わりの1発を放った。フルカウントからの7球目。「追い込まれていたので、直球を狙っていた」。2年目・西村が投じた、狙い通りの直球147キロ。バックスクリーン左に豪快に飛ばした。「スムーズにスイング出来た」。チームメートとのハイタッチでは笑みをこぼした。「ボールに当てただけ。そこにちょうど、風が吹いていた。(日本での)初めての試合で新鮮でした」とクールに受け止めた。

結果にこだわってきた。米アリゾナキャンプ前半は、台湾時代よりもペースの早い「日本流」に打撃の状態が上がらず、黙々と特打をこなした。それでも、実戦が始まれば本領を発揮。アリゾナでの実戦も2戦連続安打で「成績が全て」と、自らにムチを打ち続けてきた。台湾で4割を2度マーク。「大王」としての地位を築いても、新天地でストイックに安打を重ねている。

1回2死の日本初打席では、柿木と対戦。注目新人との対決は一ゴロも、その後の打席では貫禄を見せつけた。栗山監督は、中堅方向への1発に「引っ張って4割を打てるわけではない。飛ばせる能力がある」と、さらに期待を膨らませた。この日は2打席合計、13球を投じさせた。日本人投手の球筋に慣れるため、テーマにしてきた「ボール球を見ていくこと」を実践。結果に結びつけた。

連日、複数の台湾メディアが駆けつけるなど「大王」は日台で注目され続けている。順調なスタートを切った王だが、日本球界で活躍する手応えには「公式戦に入ってからですね」と慎重。来る日を、静かに待っている。【田中彩友美】