さすが千両役者だ。セ・リーグ野手最年長の阪神福留孝介外野手(41)が今季初打席で初本塁打を放った。中日とのオープン戦(北谷)に3番左翼で実戦初出場。初回に先発柳の直球をバックスクリーンに突き刺した。今季のファーストスイングで先制の1号ソロ。鳥谷敬内野手(37)も3回に右中間を破る適時二塁打を放ち、ベテランが元気な姿を見せた。

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41歳福留が今季初スイングで見事なアーチを描いた。1回2死走者なしの場面。中日柳のボール球を3球連続で見切ると、4球目の真ん中に入った直球を強振。「うまく当たってくれた」。打球は低い弾道のままセンター方向に一直線。どよめきに包まれて、バックスクリーンに飛び込んだ。試合開始3分の衝撃弾。古巣中日のキャンプ地は、ドッと沸いた。

一撃必殺の勝負強さは、今年も健在だ。福留は「結果がどうのこうのでなく、逆に言えば、その前のボールをしっかり見ることが出来た」と冷静に自己分析した。ボール球を見極め、集中力を研ぎ澄ます。そして一撃で仕留める-。矢野監督も「ねえ…、見事やねえ。ポンポンってアウトになって、3ボールから。しかもバックスクリーンに一発で仕留めて、あそこに打てるというのは…」と感嘆の声を上げた。

少し頬のこけた顔つきが決意の表れだ。けが防止と体のキレを出すために、キャンプイン前から例年よりも体重を4キロ減量した。若手がフリー打撃を始めれば、必ず内野、外野の守備に就き、意識的に足を動かす。宜野座球場に居残った23日も室内で黙々とボールを打った。年を重ねても練習量を落とすことはない。

プロ野球を知り尽くした勝負師は「お客さんが入った中で、まだまだ元気ですよ。若い選手に負けませんっていうのを見せられたかなと思います」と余裕たっぷりにコメント。そして「まずはケガしないということが大事。ゲーム感、投手との駆け引き。まだまだやることはたくさんある」と続けた。若手に負ける気はしない。今年4月に42歳になるセ・リーグ野手最年長は、目をぎらつかせてプロ21年目のシーズンに向かう。【桝井聡】

<福留が今季達成可能な記録>

◆国内2000安打 残り192。過去52人。

◆国内通算1000打点 残り2。過去45人。

◆国内通算1000四球 残り78。過去15人。

◆国内通算1000得点 残り19。過去41人。

◆球団最年長42歳シーズン100安打以上 従来の最年長は41歳金本知憲135安打(09年)。プロ野球最年長は44歳落合博満(日本ハム)104安打(97年)

◆球団最年長42歳シーズン3割以上(規定打席到達)従来の最年長は40歳金本3割7厘(08年)。プロ野球最年長は43歳落合(巨人)3割1厘。