日本ハム金子弌大が、1つのターンで投手としての総合力の高さを示した。

巨人戦に先発し、2回無死一、二塁の場面。初球を投げる直前、セットポジションから素早く振り返って二塁へけん制。カバーに入った二塁手の石井ともタイミングがばっちり。送球もタッチがしやすい低めへ制球されていた。「本当はダメなことですけど、まさかサインが出るとは思わなかった。あまりオープン戦でサインプレーをしたことがなかったので、自分でもびっくりした」と驚きながらも見事に対応して、二塁走者のゲレーロを刺した。

新たにコンビを組む野手との共同作業。しかも昨年8月8日西武戦以来、200日ぶりのマウンドでもあった。1発で完璧に仕留めたけん制にこそ、通算120勝右腕のセンスが凝縮されていた。移籍後初登板で「投げる前は多少の緊張感があった」。ブランクや新たな同僚とのコンビネーションなどの不安も、スマートでムダのない回転で全てを払拭(ふっしょく)した。開幕2戦目、古巣オリックス戦を託されることが決まっている。【木下大輔】