札幌6大学野球リーグの北翔大が、平成生まれのOB監督のもと、15季ぶりのリーグ制覇を目指す。

今春から指揮を執る渡部峻新監督(27)が7日、30日開幕の春季リーグ戦に向けた決意を口にした。北海高を春夏計6度甲子園に導いた大西昌美前監督(62)からバトンを受け、1日にコーチから昇格。「選手に、うまくなる喜びを感じさせながら、チームとしても強くしていきたい」と意気込んだ。

恩師大西氏に学んだ社会に役立つ人間育成を土台に、自身が同大で研究してきたバイオメカニクス(運動力学)を融合した指導を目指す。冬場にはコーチとして、投手陣の動作を光学式3次元動作分析装置で分析し、フォーム改善を提案。最速148キロで昨年の春、秋に計6勝を挙げたエース左腕本前郁也(4年=札幌光星)は下半身の使い方に課題があると指摘され「下半身をひねる筋力を鍛えたら、確実にボールにキレが増した」と効果を口にした。

新監督は大学3年から、スキージャンプの科学的研究を進めてきた山本敬三教授(43)のもと、題材を野球に置きかえ、動作改善などを研究。山形・上山明新館の選手時代は甲子園経験はなく、大学では右肩、ひじの負傷で4年間、試合に出ることができなかった。「ケガの原因を突き止めれば、うまく能力を引き出せるのでは」と、自身の再起を目的に学んだものが、いつしか没頭。15年に北海道体育学会の若手研究者賞を受賞するほどの知識と情報を、指導に生かす。

グラウンドでの練習初日となった3月31日、いきなり紅白戦を実施。昨年までは、屋外に出てから約1週間、ノックや打撃練習で体をならしてから実戦に入っていた。「予期せぬことに対する臨機応変な対応力も必要。そういうところも見てみたかった」。昨年のリーグ戦は春2位、秋3位と、頂点には届かなかった。科学の力に加え、メンタル面のテコ入れも巧みに組み合わせ、最後に勝ちきれる集団へと進化させる。【永野高輔】

◆渡部峻(わたなべ・しゅん)1991年(平3)11月15日、山形・飯豊町生まれ。山形・飯豊第一小3年で野球を始め、最初は捕手で、飯豊中で内野手、上山明新館高では投手。北翔大では負傷のため4年間登板できなかったが、14年に同大大学院生涯スポーツ学研究科に進み、修了後2年間、同大の事務職員兼野球部アドバイザーを務め、昨春は非常勤講師兼コーチ。今春、講師になると同時に監督就任。右投げ左打ち。血液型O。