元巨人の桑田真澄氏(51=野球評論家)がPL学園(大阪)の「選手」として公式戦のマウンドに帰ってきた。

高校野球部のOBで争う「マスターズ甲子園」出場を目指す同校OBチームが12日、堺市で大阪府予選2回戦で春日丘に14-9で打ち勝った。

初めて公式戦に参加した桑田氏は「4番投手」で先発。「1回の表、守ります、PL学園高校のピッチャーは、桑田くん」のアナウンスに数百人のギャラリーがわいた。「うれしかったですね。おじさんが高校時代に戻ったみたいで」。

初回先頭に四球を出したが、次打者に初球を投げる前に、素早いモーションで一塁けん制。見事にアウトにした。現役時代に得意としたけん制球を繰り出して、観衆を喜ばせた。「けん制する気はなかったんですが、子どもの頃からのあれなんですかね。リードが大きいなと思って、体が自然と反応しました」。

この回はカーブ、スライダーを巧みに配して1失点にとどめた。「コンディションやマウンド状態もよくなくて苦労した。僕は総合力で戦う投手。そういう中でけん制を入れたり、打たせて取ったり、何とか切り抜けられた」。最低限の仕事を果たし、2回からは遊撃に回った。

打線は1点を追う初回に6点を奪い逆転に成功した。打席は一塁ゴロ(野選)と四球だった。45歳以上の「シニア」カテゴリーの出番は時間制限で2回で終了。桑田氏もベンチで後輩たちに声援を送った。

堺みなとグリーン広場の駐車場は車であふれ、地元タクシー運転手が「こんなとこまで駐車しているのは見たことがない」と驚くほどの盛況ぶり。

相手の春日丘は昨年の大阪王者とあって注目のカードだった。桑田氏は「非常に強かった。チーム力もあるし、個人で上手な選手もたくさんいた。そういうチームに勝てたのは自信になる」と手応え。昨年は順番により、大阪に甲子園出場枠がない年だった。PL学園が勝ち進めば「今でもワクワクする場所」という甲子園をかけたプレーオフで昨年度優勝の春日丘と再び戦う。

桑田氏は1年夏にいきなり優勝投手になるなど、同期の清原和博氏との「KKコンビ」で沸かせた。甲子園成績は優勝2度、準優勝2度、ベスト4と突出。通算20勝の金字塔も成し遂げ、巨人入りした。

今年からOB会長に就任し、16年夏を最後に休部した同部の復活に向けて活動中。同OBチームは今年、マスターズ甲子園の大阪府予選に初参加している。大阪府予選はトーナメント方式で32チームが参加した。