赤ヘルの快進撃が止まらない。広島が先発全員の今季最多14安打で巨人に打ち勝ち、3年ぶりの11連勝。

貯金を両リーグ最速で10に乗せた。前夜はクリーンアップの4本塁打競演で圧倒したが、この日は不動の2番、菊池涼介内野手(29)が長打力を発揮し、4号ソロで勝利への流れをつくった。2位巨人には引き分けをはさみ5連勝。今季最大3ゲーム差まで拡大した。

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低めの直球をバットに乗せ、遠心力で持っていった。菊池涼は左中間スタンドへの着弾を見届け、ニコリともせず三塁ベースを蹴った。3回1死から2点差に広げる4号ソロ。ベンチのナインとタッチを交わし、最後は待ち構えた上本に喜びのビンタを食らわせた。「1打席目にやられていたので、割り切って積極的に打ちにいきました」。初回三振の借りも倍返しした。

公称171センチ、72キロだが、実際の体重は69~71キロとさらに軽い。それでも3年連続2桁本塁打を記録しているスラッガーだ。筋肉で武装し、パワーでかっ飛ばすスタイルではない。ウエートトレーニングは、余計な筋肉をつけないためほとんどやらない。体の動きを連動させ、持てる力の100%をボールに伝える技術で飛距離を伸ばす。犠打あり、進塁打ありと陰で打線を支えるが、長打力は折り紙付き。開幕からただ1人同じ打順を守り続ける打線のキーマンが菊池涼だ。

万能2番打者が勢いをつけた打線は、流れるようにつながる。4回に3点を加え、4回までに早くも先発全員安打を達成。6回に西川の適時打、8回にバティスタの12号ソロで加点し、攻撃の手を緩めなかった。14安打は今季最多。8回に2点差に詰められただけに、前半のアドバンテージが効いた形となった。緒方監督は「ここは点差が開いても1つの流れで大量点につながってしまうからね」とナインをたたえた。

これで3年ぶりの11連勝。2位巨人に引き分けをはさんで5連勝とし、3ゲーム差をつけた。5月は16勝3敗1分けとなり、月間18勝の球団記録更新も見えてきた。持ち味はクリーンアップの破壊力だけではない。変幻自在の2番打者が支える赤ヘル軍団が、このまま独走態勢に入る勢いだ。【村野森】