G迎撃の態勢は整った! 阪神高橋遥人投手(23)が広島打線から9三振を奪い、8回4安打無失点に抑えた。同一カード3連勝に貢献し、5月30日巨人戦以来の2勝目。チームは2位を守った。8日から首位巨人を甲子園に迎え、前半戦最後のカードに臨む。宿敵の独走は許さない。

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心から楽しんだ114球だった。甲子園のマウンドで、高橋遥が躍動した。自己最長となる8回を投げ、4安打無失点。無四球9奪三振と会心の投球で、広島打線を封じた。「先頭を出さないこと、ツーアウトになっても気を抜かないこと。ランナーを出してからも粘るという意識を、いつもしている。それができたから、こういう結果になったと思います」。

力のある直球に、スライダーを中心に変化球をコーナーに散らした。5月30日以来となる今季2勝目。「何よりも、8回を114球で無四球だったのが1番良かったです」とお立ち台で笑みがはじけた。

長くつらい時期を乗り越え、こうつぶやいたことがあった。「自分なんて、まだまだ。でも、やっぱりマウンドで投げられるのは楽しいです…。(昨年に)ケガした時に思ったんです。ああ、野球できるっていいな。うらやましいなあ…って」。プロ初登板初先発した昨年4月11日広島戦(甲子園)で7回無失点に抑えて初勝利を挙げた。最高のデビューだったが、思わぬアクシデントが待っていた。同6月10日ロッテ戦(甲子園)で敗戦投手になったが、この試合中にマウンド上で異変が起きていた。「投げた瞬間に、肘からミシって音がしたんですよね。あ、やっちゃったな…って。ここでマウンドを降りたら、次のチャンスがもらえないんじゃないかと焦ってしまって…」。

プロ1年目は左肩のコンディション不良や左肘痛とケガに泣いた。鮮烈デビューから一転し、リハビリ生活。鳴尾浜球場でキャッチボールする投手陣を横目に、1人グラウンドを走るだけ。ボールを投げることができない状態で、下半身強化に取り組むしかなかった。ふと思った。「投げられないってことが、こんなにつらいなんて。人生で初めて知りました。腕を上げるだけで引っかかる感覚があって、怖かったんです」。今は、怖いモノはない。「(梅野さんから)思い切って攻めてこいって。絶対に逃げるなよとも言われたので思い切って投げました。100点です!」。耐えて、道が開けた。若き左腕は先発ローテーションに欠かせない存在になった。【真柴健】