新顔の奮闘が、前半戦の阪神を引っ張った。阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24)が、矢野監督から梅野とともに野手MVP級の評価をもらった。

「前半戦、チームを引っ張っていってくれたのは近本と梅野。よく引っ張っていってくれた部分が野手の中であったと思います」

開幕スタメンをつかんだ近本はチーム3位タイの83試合に出場。スタメンは78試合で、そのうち1番が70試合とリードオフマンとしてチームを引っ張った。自慢の足で魅了し、ここまで19盗塁をマーク。中日大島、ヤクルト山田哲に次ぐセ界3位で、盗塁王を狙える位置につけている。

バットでも存在感を示した。安打数は糸井、大山に次ぐチーム3位の87安打。DeNA戦にめっぽう強く打率3割6分2厘、3本塁打に9打点と得意とした。思い切りのいい打撃も披露。初球を打てば打率4割7分4厘をマーク。ルーキーながらも打席に入る前に、きっちり準備ができている証しだ。

この日は無安打に終わった近本だが、前半戦を振り返り「できたところとできなかったところがある。(プロで)初めて知れることが多くて、それはよかった」と話した。ただ、そこで止まらない向上心が近本の良さだ。「よかったところだけじゃ、自分の成長にはならない。悪かったところも(後半戦に)それがよかったと思えるようにしたい」と続けた。

ルーキーでも責任感は人一倍に強い。「これからの後半戦もしっかりチームを引っ張っていけるようにやりたいと思います」。ファン選出された球宴でリフレッシュしながら、一流の極意も学ぶ。そして後半戦残り59試合へ。ネバーギブアップの大逆襲を近本が引っ張っていく。【真柴健】