7年ぶり9度目のオールスター出場の阪神藤川球児投手(38)を出場メンバーたちが語った。リーグ3位の23ホールドを挙げ、昨年よりパワーアップした球児のすごみとは? 丸、坂本勇、筒香、梅野らの証言に、昨季と比較したデータも交えて右腕のすごさに迫った。【取材・構成=桝井聡、セ・リーグ取材班】

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藤川と言えば「浮き上がる」と言われる火の玉ストレート。セ・リーグの猛者たちからも直球に関する証言が相次いだ。

DeNA筒香 何というか、特殊なストレートを持っている。噴き上がるストレートというイメージ。タイミングが他の投手とは違う。バットを出しても、あれ? という感じになる。すごい投手だと思います。

巨人丸 やっぱりボールのキレが素晴らしいと思います。

ヤクルト中村 少しでもボールを見ようと思うと、捕手のミットに到達している。他の投手とは違うものがある。リリースしてからのスピードも力もある。

巨人岡本 ものすごいボールですよ。(真っすぐと)分かっていても打てませんから。今の藤川さんしか知りませんが、ほんまにすごいです。

中日高橋 真っすぐが速い!

独特の剛速球を生むと言われるボールの回転数について、球団内には今季も「球界トップクラスをキープしている」という証言がある。昨季11・10だった奪三振率は、今季はここまで13・64。セ・リーグでは突出している。得点圏での被打率は昨季2割6厘から今季0割8分7厘。球種の9割以上を占める直球とフォークボールで打者を翻弄(ほんろう)している。

ボール自体のすごさだけではない。女房役の阪神梅野と巨人坂本勇が証言したのは、卓越した観察眼、そして打者との駆け引きのうまさだ。

阪神梅野 自分の状態もいい時はもちろんですけど、悪いときにも抑えている。相手のタイミングを狂わせることができる。タイミングを狂わせてファウルを取る。そうやって相手を追い込む形を作れる。ただ単に力勝負ということではない。真っすぐも(コースが)偏らない。

巨人坂本勇 去年も今年もずっと球は強いです。やっぱり、すごいのはキレですよね。それとマウンドでバッターを感じながら投げられているように感じます。

今季がNPB復帰4年目。対戦経験のなかった打者の特徴も、ここ数年で蓄積されている。登板前のブルペンでは具体的な打者をイメージして「予行練習」を行う。前半戦で投げたわずか数球のカーブは、後半戦への布石ではという証言もあった。独特のストレートを生むコンディション作りと、打者を攻略するための準備。圧倒的なパフォーマンスには理由がある。