ソフトバンクのドラフト3位野村大樹内野手(19)がプロ初打席初安打の衝撃デビューを果たした。この日2年目の増田とともに、1軍に初登録。7回の守りから三塁に入った。同点の9回2死一、二塁。オリックス荒西の3球目の外角直球へ体ごと食らいつき、右前へライナーで運んだ。

「よかった。打席では緊張しなかった」とニッコリ。初安打の球はベンチの柳田が確保。球団では高卒新人野手の初打席初安打は04年5月4日に明石が三塁打を記録して以来15年ぶり。05年にソフトバンクとなってからは初の快挙だ。

兵庫県宝塚市出身だが両親の姿はスタンドにはなかった。「今、ハワイに旅行に行っているんです。(昇格を)LINE(ライン)で伝えると、電話で『チャンスをもらったんだから、3球振ってこい』と言われた。その意識が安打につながった」。まさかの海外旅行中で、勇姿を生で見せられなかったが記念球は親に贈る。

CSではなく来季以降を見据えてのプロ初昇格。「力がない中、デビューさせてもらって、打てて大きい」と、自分の立場は分かっている。試合前の円陣では増田が声出し。「みなさんを鼓舞したい」と、突然、ラグビー・ニュージーランド代表の「ハカ」を踊り、ナインは大笑いでバカ受け。その中で野村だけが、29日に自分が声出しする時のハードルが上がり、不安そうな顔をしていた。

今季は3軍で79試合に出場。打率3割3厘、3本塁打、41打点。吉本3軍打撃コーチからは、ペットボトルの捨て方などから社会人としての指導を受けている。2日間の1軍経験は、早実で1学年上の清宮と3、4番を組んだ高校通算68発男にとって大きな糧となりそうだ。【石橋隆雄】

▽ソフトバンク工藤監督(初安打の野村に)「打席の中で落ち着いて対応ができていた。いいものを見せてくれた」

▽ソフトバンク増田(2年目でプロ初出場も無安打)「思ったより緊張しなかった。(初打席は中飛も)初球からいけたのはよかった。(野村の初安打は)あいつは持っているので、どうせこうなると思っていました」

◆野村大樹(のむら・だいじゅ)2000年(平12)9月10日生まれ。兵庫県出身。早実では1年春からレギュラー。三塁手から捕手に転向し、3年で再び三塁に戻る。高校通算68本塁打。18年ドラフト3位でソフトバンク入団。172センチ、81キロ、右投げ右打ち。