巨人の「顔」がお茶の間に登場する。坂本勇人内野手(30)が、球団の現役選手としては近年では異例のテレビCMに起用されることが9月30日、分かった。大手食品メーカー、はごろもフーズ(本社・静岡市)が展開する「ポポロスパCarbOFF(カーボフ)」のCMに出演。10月1日から全国でオンエアされる。今季限りで現役を引退する阿部慎之助捕手(40)から“看板選手”の使命を引き継ぐ。

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白いカジュアルシャツの坂本勇が、柔らかい太陽光に映える。グラウンドで見せる勝負師の顔とは一変、優しい笑顔で、パスタをほお張る。親近感が際立つ巨人のキャプテンが、お茶の間のハートをわしづかみする。

今季はプレーでファンのハートをわしづかみにしてきた。15年に阿部から重役を引き継ぎ、キャプテン就任後初、チームとして5年ぶりのリーグ優勝。さらに“ミスター超え”も果たした。9月27日の「ありがとう 慎之助」と銘打って開催された本拠地最終戦のDeNA戦で左翼席へ40号ソロ。球団の生え抜き右打者では68年長嶋茂雄を抜き、史上初のシーズン40本塁打の大台に乗せた。身を酷使する遊撃手として全143試合に出場。強烈なキャラクターで球界、チームをけん引してきた阿部からは「勇人がキャプテンで優勝できたし俺の荷が下りた。あとは勇人のカラーで、坂本組でやっていってほしい」と託された。

CMでは、球界の未来を担う子どもたち、そして野球少年を支える父母に、爽やかな笑顔を届ける。日本テレビ出身の今村球団社長も「どんどんテレビCMに出て、知名度、スター性を再構築することが大事。球場はもちろん、社会全体にプロ野球、野球を落とし込めるかが大事」と歓迎。トップ選手の露出増は野球普及への力強い一手となる。

近年、健康維持のために注目されている低糖質パスタ「ポポロスパCarbOFF(カーボフ)」は坂本勇の明るく、元気で健康的なイメージと合致する。パスタをほお張るシーンでは「カーボフ、最高っすね!」と、阿部の「最高です!」の決めセリフを若者流? にアレンジ。この日の「優勝祝賀会兼クライマックスシリーズ激励会」では「僕がキャプテンになってようやく優勝できました。チームはクライマックスシリーズに入ります。より一層、チーム一丸で頑張ります」と選手を代表してあいさつした。スタンド、お茶の間から注目を集め、その声援を力に、悲願の日本一へと猛進する。

◆巨人の選手の主なCM出演 76年から巨人の選手が起用された大塚製薬の「オロナミンC」は多くの主力選手が出演した。「オロナミンCは小さな巨人です」のキャッチフレーズで人気を集めた。長嶋茂雄はカルピス、王貞治は亀屋万年堂の「ナボナ」。「ナボナはお菓子のホームラン王です」のキャッチフレーズは有名。松井秀喜は富士通、キッコーマン、久光製薬「エアーサロンパス」などに出演。高橋由伸もダイハツ「アトレー7」、明治製菓、サントリー「ペプシコーラ」など。