新戦力発掘へ、日本ハムが来夏開催される東京オリンピック(五輪)を徹底マークすることが30日、分かった。早ければ来秋ドラフト会議でのサプライズ指名を見据えて、異競技のトップアスリートまで調査の幅を広げる。陸上男子10種競技の第一人者で北海道出身の右代啓祐(33=国士舘ク)ら、並外れた身体能力を持つ選手が対象となりそう。常識にとらわれることなく、野球界で輝ける逸材を探す。

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日本ハムが20年東京五輪をスカウティング対象に加えることが明らかになった。吉村GMは来夏のスポーツの祭典を「全競技、録画する」と明かした。入手困難なチケット情勢もあり、スカウトの現地派遣は厳しいが、一昔前とは違うテレビ中継体制の充実もあり、映像で全ての実施競技を網羅できると判断。逸材を発掘するつもりだ。

11年ドラフトでは、早大ソフトボール部の大嶋匠捕手を指名した例がある。異競技選手のドラフト指名について、吉村GMは「可能性は、いつもある。野球の常識も変わってきているからね」と話す。地元開催の東京五輪では、各競技のトップアスリートたちが、いつも以上に仕上げてくるとみられる。野球界でも通用するポテンシャルを持つ出場者が現れてもおかしくない状況が、そこにはある。

より注目するのは陸上界となりそうだ。吉村GMは「やり投げのトレーニングが投球とどう関係しているのか、興味はある」という。きっかけはオリックス山本のプロ入り後の飛躍だ。やり投げトレーニングを導入して侍ジャパン入りするまで急成長した。「実際に高校時点では、そこまで評価していなかったが、その練習と成長に何らかの関係がある可能性は考えた方がいい」と注視している。

チェック候補の1人となりそうなのが、やり投げも行う陸上十種競技の右代だ。野球経験はないが最速141キロをマークしたこともある。14年シーズンには札幌ドームで始球式を務めたこともあり、当時も“視察”した吉村GMは「球速が、もうワンランク上がれば…」と身体能力の高い道産子に期待する。オリンピアンのドラフト指名へ-。日本ハムは、夢のある可能性を追求する。【木下大輔】

<異色経歴の選手>

◆桂本和夫 中大。56年メルボルン五輪で、レスリング・フリースタイルのミドル級5位入賞。運動神経と体格を買われ57年、国鉄(現ヤクルト)入団。4年間で通算9打数2安打。

◆飯島秀雄 早大-茨城県庁。陸上100メートル10秒1の日本記録保持者(当時)で、東京、メキシコの両五輪に出場。68年ドラフト9位で東京(現ロッテ)から外野手として指名を受けた。プロでは代走専門で117試合に出場し、23盗塁をマークした。

◆日月(たちもり)哲史 関東高陸上部に所属し、やり投げで87年国体6位入賞。投手として同年ドラフト外で西武の練習生に。4年後の91年ドラフトで同球団に8位指名され、支配下登録選手になるも1軍出場はなかった。

◆大嶋匠 早大ソフトボール部から、11年ドラフト7位で日本ハム入団。18年までプレーし、1軍通算15試合で18打数3安打。