思い切りよく前へ。西武森友哉捕手(24)が冷え込むマツダスタジアムで躍動した。2回2死満塁。打者山川のフルカウントからの中前打で一気に一塁から生還した。無我夢中に腕を振り、足を上げて、体ごと本塁に滑り込み「とにかく全力で走った。どっちか分からなかったけど、黒田さんが腕を回していたのでいけるかなと」と好走塁で追加点をもたらした。

球界屈指を誇る強力山賊打線で2連覇中のチームには「勝つ集団」の習慣が浸透している。黒田内野守備走塁コーチは「相手投手が振りかぶっていた。その分、早くスタートが切れた。友哉らしい、思い切りのいい走塁だった」。立ち上がりに安定感を欠いた広島K・ジョンソンから試合序盤の2回までに大量6得点でまくし立てた。

折り紙付きの打棒も順調そのものだ。K・ジョンソンと塹江から外角球を左前打、高橋樹からは内角球を右前打と左投手3人から3打数3安打1四球の猛打賞。昨季のパ・リーグ首位打者のバットからは、打ち出の小づちかのように安打が生まれ「左投手と対戦する機会が少なかったので(打席に)立ちたいと思っていた。結果、ヒットも出たし、良かった」とうなずいた。

6日は1得点と沈黙したが、この日は19安打11得点を量産。辻監督は「打線はみんな悪くない。つないでね。シーズンを戦う上で1、2回の得点はすごく大事だし、大きい」と評価した。空席のスタンドが満員のファンで埋まる「春」を待ち、準備は最終段階に入る。【為田聡史】