ソフトバンクのドラフト1位、佐藤直樹外野手(21=JR西日本)が、万能ぶりを発揮し、開幕1軍へ猛アピールした。

広島戦に「8番中堅」でフル出場し、3打数2安打1打点。5回は二塁への「神スライディング」で盗塁をマークし、同点の9回無死二塁で冷静に犠打も決めた。走塁を重んじる今年のチームカラーに応えるように、オープン戦4盗塁は牧原と並んでチームトップ。

打率も4割に乗せ「打ってよし、守ってよし、走ってよし、送ってよし」の総合力を披露した。

      ◇   ◇   ◇

神懸かりの走塁だった。左前打で出塁した5回に無死一、三塁で二盗。「ちょっとスタートが遅かったが、送球が少し右にそれたのが分かったので、なんとかタッチをかいくぐろうと」。佐藤はとっさの判断で、左半身を縮めるようにスライディング。報徳学園の後輩、広島小園のタッチをかいくぐった。1度はアウトの判定も「タッチされてない自信があった」とリクエストでセーフ。首脳陣に身体能力の高さを見せつけた。

7回の3打席目は外角球をおっつけ、右越えの適時二塁打。3戦連続安打でオープン戦通算15打数6安打4打点。「初球から振りにいけてるのがいい結果になっている」。2月22日、古巣・JR西日本との2軍練習試合は「1番中堅」で先発も、3打数無安打2三振。「自分に自信なさすぎたので、もっと自分ができることをやろうと思った」。開き直ってオープン戦の好結果につなげた。

試合後は15日広島戦(マツダスタジアム)に向け、博多駅から新幹線のぞみ号でJR西日本駅員時代の職場だった広島駅へ。「両親もJR西日本の社員の人も(球場に)来てくれるはずでした。無観客になったので残念ですが、開幕1軍に残るために頑張ります」。大きな目標へ「第2の故郷」で望みをつなぐ。【浦田由紀夫】