広島床田寛樹投手(25)がソフトバンクとのオープン戦(ペイペイドーム)に先発し、5回6安打2失点で復調のきっかけをつかんだ。

春季キャンプから課題としていた真っすぐが走り、最速は148キロ。テンポのいい投球でオープン戦最長イニングを投げ切った。調整が遅れていた左腕にとって開幕延期はプラス材料。再出発のマウンドで大きな手応えを得た。

   ◇   ◇   ◇

スピードが戻った。先発床田の直球は、立ち上がりから147キロを連発。オープン戦最長となった5回はこの日最速の148キロを計測した。この日の結果次第では「(1軍同行も)終わっていましたね」と覚悟したマウンドで、復調の兆しをつかんだ。

「今まで投げたオープン戦では一番良かった。しっかり腕を振って投げ切れたと思う」

笑顔も戻った。春季キャンプから理想の投球とのギャップを埋めきれずに悩んだ。考え込んで悪循環にはまり、投球も気持ちも上がらなかった。前回7日の教育リーグ・オリックス戦では4回8安打7失点。先輩大瀬良からポジティブ思考の勧めを受けた。「ダメな球があっても次、次とプラスに考えてやっていた」。1回に3連打で1点を失ったが、引きずらない。その後の松田宣を三ゴロ併殺に仕留めて切り抜けた。

開幕延期も気持ちを楽にした。思考の変化が球質の変化につながった。12日の練習でキャッチボール相手を務めた大瀬良は「球に切れがあった。球質は良くなっている。何かきっかけがあれば変わると思う」と感じていた。

5回で69球を投げ、6安打無四球2失点。「ツーシームとスライダーがあまり良くなかった。スライダーでストライクをとれればもっと楽になる。(球速も)もう1つ上げたかった」。課題のレベルが上がったことが停滞感打破を意味する。「自分もすごく不安だったが、これを機に1歩ずつ上に上がって行ければ」。昨季7勝を挙げ、今季は先発の柱と期待される左腕が、本来の姿を取り戻しつつある。正しい軌道に乗り、シーズン開幕に向かう。【前原淳】

▽広島佐々岡監督 ブルペンからスピード、強さが今までよりはいいという報告はあった。今まで苦しんでいる分、次に期待する。これを続けてほしい。

▽広島沢崎投手コーチ いい真っすぐを投げていた。腕の振りなど吹っ切れたような感じがあった。