早大が巨人2軍に打ち勝った。プロアマ交流戦がジャイアンツ球場で行われ、12安打9得点の早大が、15安打6得点の巨人に逆転勝ちした。

プロ野球からアマ球界に飛び込み、就任2年目でのリーグ優勝を狙う早大・小宮山悟監督(54)と、就任1年目の巨人阿部慎之助2軍監督(41)。長年、勝負の世界に身を置く両指揮官の姿勢がにじみ出た。

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早大打線は死ななかった。3-4の8回だ。1死一、二塁から左飛で2死。好機がついえかけたが、そこから4連打で6点を奪い逆転。締めは、滝沢虎太朗外野手(3年=山梨学院)の2本目の2ランだ。巨人ラモスから右中間へ放り込み「自分よりレベルが高い相手から2本塁打。自信になります」と胸を張った。

小宮山監督の“厳しさ”が勝利につながった。就任1年目の昨年は春、秋とも3位。特に秋はチーム打率2割1分4厘(リーグ5位)と低調で、2年目を前に学生たちに宣言していた。

「1年目は様子見だった。今年も無理は要求しない。だが、できることをやって、結果が出て、初めて『努力』と言えるんだ」

学生時代、石井連蔵監督の猛練習で素質が開花。当時の激烈さとは異なるが、やるべきことをやる点は変わらない。直接指導を増やすと同時に、自律を求め、逆風をはね返させた。

1月、改修でグラウンドが使えない期間は室内で鍛錬させた。ハンマーのタイヤ打ちで基礎体力を向上。ティー打撃は斜めではなく、実戦同様に正面からトスさせた。打球でケガしないよう、発泡スチロールのボールを使った。

新型コロナウイルスの影響で沖縄キャンプが中止になっても、へこたれない。自主練習を含め1日8時間。事実上のキャンプだったが、学生が「キャンプ」と言うのを「こんなのは普通の練習だ」といさめた。滝沢は連日のように特打を重ねた。できることをやって、結果が出た。

敗れた巨人阿部2軍監督は「しっかりした野球をされる。見習いたい」と球界の先輩に敬意を表した。5失策で自滅した面もある。試合後は選手を外野に集め、約1時間、両翼ポール間を走らせた。「罰走です。こっちは1日、お金をもらって苦しい練習をやっている。向こうは勉強もして野球をやっている。これが現実」。プロもアマも厳しさは同じ。伝統を背負い、妥協せずに野球を追求する。【古川真弥】