日本野球機構(NPB)とJリーグが、厳しい現実を突きつけられた。合同で設立した「第5回新型コロナウイルス対策連絡会議」が3日、ウェブ上で開催された。

専門家チームは感染者数が増加する現状への危険度を強調し、4月から5月にピークが来る可能性を指摘。NPBとJリーグで感染者も出てきているだけに4月の公式戦開催は困難で、5月下旬以降の延期を提案した。会議を受け、両団体はそれぞれ、開幕及び再開日程の白紙を決めた。

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過去4度の会議とは、専門家チームの言葉の厳しさが違った。ウェブ上で実施された記者会見で、座長の賀来氏は「プロ野球、Jリーグも選手が感染した。誰もが感染しうる状況で4月の試合開催は難しい」と断言。三鴨氏が「東京で感染者が増え、経路不明者も増え、若者の感染者も増えた。4月の開催は難しい」と続けば、舘田氏も「市中におけるまん延期に入ったという認識」と同調。早くても5月下旬の開幕・再開が望ましいと進言した。

これまでは試合開催に向けた備えにウエートを占めてきた。入場時の検温や消毒、感染拡大につながる三密(密閉、密集、密接)を回避するために、収容率を下げる観戦方法や感染拡大を防ぐ応援スタイルなどを模索してきた。だが状況が急速に変化。賀来氏が「ほとんどどこでも感染が見られる状況になってくるのではないか。だから(感染者の)未確認地域でも難しいのではないか」と話すように、全国的危機に直面している状況での開催は不可能と言わざるを得なかった。

現状では無観客試合でもリスクが生じるとの見解も盛り込んだ。試合会場へ移動する選手やチーム関係者、会場周辺のスポーツバーなどでも感染拡大の危険があると指摘。賀来氏は「人数で目安とするのは難しく、これからの状況を見ながらになる」と話し、舘田氏も「2、3カ月でこの感染症がなくなるということは考えられない。抑えられている状況であれば、無観客試合、入場を制限した試合ができるのではないかという議論を皆さんとしていくのかなと思っています」との見通しを示した。

開幕及び再開を実現した後でも、チームから感染者が出ることも考えられる。賀来氏は「いろんなケースが考えられる。各チームも対応を考えていかないといけない」と訴えた。シーズン中に感染者が出た場合のルール作りなど、両団体とも長期戦への備えにも着手していく。

◆新型コロナウイルス対策連絡会議の専門家メンバー

東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授・賀来満夫氏

愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授・三鴨広繁氏

東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授の舘田一博氏