開幕3連敗と、虎は残念なスタートとなりました。ディープすぎる阪神のデータを掘り起こす、スカイAの人気番組「虎ヲタ」レギュラー出演中の日刊スポーツ高野勲記者は、反転攻勢に向け「真のアフター鳥谷」登場を熱望します。

鳥谷敬内野手(38=現ロッテ)が03年ドラフトで入団した後、生え抜き野手は「鳥谷1強」の時代が続きました。今季は生え抜きスター野手登場の年となるか-。

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阪神は03年以来17年ぶりに、鳥谷のいないシーズンを迎えた。通算出場試合、打席、安打、四球などで多くの部門で阪神最多となった球団のレジェンドは、ロッテに新天地を求めた。在籍16年間の生え抜き野手陣は、まさに「鳥谷1強」というべき状況にあった。

打者にとってレギュラーの目安となるのが、規定打席への到達だ。鳥谷は阪神で、2年目の05年から13年連続13度これを満たしてきた。この間、打率10傑に5度もランクイン。11年には自己最高順位の4位。14年にはキャリアハイの打率3割1分3厘を記録し、3割を通算3度クリアするなど、リーグを代表する選手となっていた。

この間に阪神へドラフト入団したその他の選手による、規定打席到達も計13度。8人の野手が束になって、やっと鳥谷1人分だ。この8人中最多は上本の3度と、大きく見劣りする。打率の順位最高は14位で、13年大和と17年上本。最高打率は18年糸原の2割8分6厘で、3割打者は1人もいない。長年にわたり、鳥谷以外の生え抜き中心野手が育たなかった現実が浮かび上がる。

セ他球団と比べると、より事態は深刻に映る。鳥谷が指名された03年ドラフト以降に新人入団した阪神選手の、打撃タイトル獲得は2度しかない。11年鳥谷の最高出塁率と、19年近本の盗塁王だけだ。これは中日の2度(大島が盗塁王と最多安打の計2度)と並びリーグ最少である。最多はヤクルトで16度と、阪神の実に8倍に達する。

チームは長らく、金本知憲をはじめ新井貴浩、福留孝介、糸井嘉男ら他球団から強打者を補強してきた。その一方で自前の中心野手となると、近年は鳥谷1人と言わざるを得ない。アフターコロナを期し、プロ野球もようやく開幕した。巨人戦3連敗と最悪のスタートとなった今季こそ、真の「アフター鳥谷」が求められる。【記録室・高野勲】

◆虎ヲタ~知ればアナタも人気者~ 阪神タイガースをデータから読み解く、新感覚の野球情報番組。ファン目線のトリビアなものや、日刊の記者が持ち込みで紹介するここだけの硬派なネタで、阪神を徹底分析する。増田英彦(ますだおかだ)関本賢太郎(阪神タイガースOB)高野勲(日刊スポーツ記者)がレギュラー出演。7月号は「トレード特集」。放送予定はスカイAのホームページで。