阪神の「新・勝利の方程式」が上々の船出だ。最後を締めたのは剛腕スアレスだ。3点リードの9回2死二塁。7番雄平を137キロスプリットで二ゴロに斬ると、右手を握りしめてガッツポーズ。駆け寄ってきた梅野と肘タッチだ。今季2セーブ目を上げた右腕は「1点も取られずに抑えることが自分としてもチームとしても大事なこと。0点で終えることができて良かったよ」と冷静に振り返った。

6-3で迎えた試合終盤。焦点は継投策だった。12日に絶対的ストッパーの藤川が右肩のコンディショニング不良で出場選手登録を抹消。リードした終盤をどのようにつなぐかに注目が集まった。矢野監督はスアレス、岩崎につなぐ勝ちパターンについて「和雄(伊藤)とか馬場とか入れていきながら。そういうメンバーをどう使っていくか」と、新たな方程式を模索していた。

7回のマウンドは昨季まで登板4試合の3年目馬場だった。先頭山崎、続く雄平を内野ゴロに斬ると、最後は西田をのけ反らせる内角変化球で見逃し三振。気合の3者凡退でプロ初ホールドをつかんだ右腕は「自分らしく強気でバッターに向かっていく姿勢を見せられた。自信になりました」と初々しい。8回は岩崎が先頭を出しながら貫禄の1回無失点。バトンを落とさずつないだ。

矢野監督もこの日一番の笑顔だ。馬場のルーキーイヤーが2軍監督時代と重なった。1年目からの苦労を知るだけに「バッターに向かっていくピッチングをしてくれた。今後に向けても大きな1つのカード、大事な戦力になってくれたのでうれしい」と手放しで喜んだ。スアレス、岩崎につなぐ選択肢が増えれば、勝利の確率がグッと上がる。【桝井聡】