大敗の裏で再出発だ。広島大瀬良大地投手(29)が9日、広島・廿日市市内の大野練習場でのリハビリを公開した。

2年連続開幕投手に指名され、開幕から2戦連続完投勝利をマークしたが、不安を抱えていた右肘痛を発症。2度目の選手登録抹消後の9月に手術に踏み切った。現在はまだ患部周りの強化やストレッチを中心としたメニューをこなしているが、来年の開幕には間に合う見通し。苦しい戦いを続けるチームとは離れ、一足早く来季へ向けて歩み始めている。

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重圧から離れた表情だった。1軍から離れて34日、右肘に手術痕が残る大瀬良の視線は来季を向いていた。「右肘関節鏡視下遊離体摘出・骨棘(こっきょく)切除・滑膜切除」の手術からは23日しか経過しておらず、リハビリメニューも限られる。キャッチボールはもちろん、重い負荷の筋力トレも、ダッシュもまだ許されない。それでも不安から解放されたことで、前に進むだけを考えている。

大瀬良 抹消になった時点で今季(の復帰)はきついなと思っていた。そこで引きずっても仕方がない。前向きにとらえて、いいステップを踏んで春のキャンプ、開幕へ向けていい形で進めていきたい。

2年連続開幕投手を務めた初登板から2試合続けて完投勝利も、7月24日DeNA戦で不安を抱えていた右肘が悲鳴を上げた。翌25日に選手登録抹消をされ、8月8日阪神戦に中14日で先発復帰。7回1失点での勝利に沸く周囲とは対照的に、大瀬良の不安は増していた。「1週間丸々ボールを触らなかったので、行けるなと思ったんですけど、1試合投げるとやっぱり戻っていた。きついなという感じはあった」。右肘の状態が顕著に投球内容に表れるようになり、その後は1勝3敗。「なんとか(最後まで)やりたいなと思っていました。でも難しかった」。最後の2試合は4回持たず降板だった。

責任感は人一倍強い。だが、肉体も気力も、すでに限界を超えていた。担当医の検査をへて手術が決まった。順調にいけば、来季開幕には問題ない。「(来季)レベルアップして戻るに越したことはない。そこを目指してやっていきたい」。苦しい戦いを続けるチームの力になれない思いはぐっとこらえ、新たに抱く使命感を復活への糧とする。【前原淳】