新人王いただきます! 広島森下暢仁投手(23)が8回7安打無失点で、悲願の10勝目を挙げた。5回1/3を投げた時点で、規定投球回(120回)に到達。文句なしの投球内容でタイトルに“当確ランプ”をともした。球団新人では14年大瀬良以来の2桁勝利に「しっかりシーズンを通して投げきることができていますし、本当にうれしいです」と喜んだ。

落ち着いて2度のピンチを切り抜けた。初回2死三塁は、A・マルティネスを低めのカットボールで空振り三振。1点リードの6回2死一、三塁は高橋を150キロ直球で遊ゴロ。快投で、チームを今季初の5連勝に導いた。佐々岡監督は「言うことない。素晴らしい」と絶賛。「これで新人王は“確定”。森下以外を投票する記者はいないでしょう」とえびす顔だ。

学生時代に背中を追い続けた先輩に、2度目の対戦で初めて投げ勝った。中日柳は明大の3学年先輩で、1年間は同部屋で過ごした。森下の武器の1つで縦に鋭く曲がるカーブは柳から投げ方を教わり、アレンジしたものだ。4年時には、柳と同じエースで主将の立場に。「そんなに考えすぎず、普通にやればいいんじゃない」と柳に励まされ、悩みが消えたこともあった。この日は投手戦を繰り広げ、森下に軍配。「しっかりいい投げ合いができたと思いますし、またこれからも対戦すると思うので」。2人の熱い戦いは続く。

新人王にとどまらない。防御率はリーグ1位の中日大野雄に0・002差に肉薄する2位の1・907。球団では史上初、99年上原(巨人)以来の新人で最優秀防御率の獲得も見えた。次回の登板は未定ながら、右腕は「ここまで来たら取りたいなという気持ちもある。自分が任されたところでしっかりと投げたい」。黄金ルーキーが快挙に挑む。【古財稜明】

◆新人王の決定方法 全国の新聞、通信、放送各社に所属し、5年以上プロ野球を担当している記者の投票によりセ、パ両リーグで1人ずつ選出。最優秀選手(MVP)やベストナインも同じ方法で選出される。

▽広島坂倉(森下をリードし、7回には援護の適時打)「持っている球種の中で偏らずに、緩急をうまく使えたと思います。森下さんが頑張っているので、援護点になってよかった」

▽中日与田監督「球種であったり、コースであったり対策はとって臨んだのですが、うまく裏をかかれた。もともと投げているボールはいい。低めにもコントロールされていた」

▽中日村上打撃コーチ(森下を攻略できなかったことに)「立ち上がりを崩しきれなかった。チャンスを作ったが、あと1本が打てなかった。皆で何とかしていかないと」

▽中日阿部(森下から2安打)「いい投手なので、積極的にいった結果がヒットになりました」