ロッテがCSに進めるかどうか、運命は1週間足らずで決まる。今季残り5試合で、57勝55敗3分けの2位。西武が全く同じ成績で並ぶ。直接対決では8勝15敗と大きく負け越し、同率2位のまま終われば、CS出場権は奪われる。狙うは5連勝のみだ。

昨年は最終戦で敗れ、CS出場を逃した。衝撃の大きさはファン以上に、選手や首脳陣が痛いほど知っている。井口資仁監督(45)は3日の試合前に「1年間の集大成」と表現し「キャンプからやってきたことをやるだけ」と年間を通じて発した言葉を貫いた。

力量の劇的な変化は考えにくい。チーム打率は12球団最下位の2割3分4厘。1試合平均3・8得点。直近10試合では2・9得点。相手はソフトバンク千賀、東浜とエース格が続く。対して、チーム防御率は3・86。3-0、または3-1で9回表の守備を迎えるのが、現実的に考えられる理想の展開だ。

4日、5日のソフトバンク2連戦はチェン・ウェイン、美馬が先発し、7日のオリックス戦は二木が満を持す。6、7回まで1失点以内でいける力量はある。ただ、3日は石川が5回無失点も、6回に乱れて逆転負けを喫した。井口監督も「あの回だけ追い込んでから高くいった」と話す。継投機の見極め。選手のパフォーマンス同様、采配も問われる5試合になる。

「3連投はNG」「中5日の先発はNG」など、シーズン終盤を見すえた投手運用をしてきた。吉井投手コーチも10月中旬に「最低限の体力は温存できたかな」と成果を口にした。井口監督は「投手コーチもどんどんつぎこんでくれてと言ってくれている」と明かす。唐川、益田ら勝ちパターンの救援陣も、惜しみなくつぎ込まれる。

沢村拓一投手(32)の起用がカギを握るだろう。9月に入団後「8回の男」として奮闘した。10月末に初めて3日連続で登板。ここまで19試合は全て1イニング以内。残り5試合、このリミッターでさえ外れる可能性は十分にある。

防御率1・93、奪三振率12・05。最も安全にピンチを脱出できる投手だ。例えば、試合中盤のピンチで沢村が力で抑えきれば、チームの勢いにもつながる。かつては年間200イニングを投げた鉄腕。回またぎのリリーフも十分に可能だ。フローレス、東條、小野が好調で、沢村を前倒しするリスクも以前より低い。

ポストシーズンへの疲労を考える余裕はない。「突ッパ!」とスローガンを掲げ、日本一を目指してきた。マリーンズの全てを出し尽くす時だ。【金子真仁】