広島森下暢仁投手(23)が8日、広島市内の球団事務所で契約交渉に臨み、2700万円増の年俸4300万円で更改した。

球団の新人では12年オフに2500万円増だった野村を上回り、史上最高の増額となった。今季10勝3敗で新人王の有力候補に挙げられる右腕は、来季の開幕投手争いに名乗りを上げた。(金額は推定)。

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森下は大幅昇給の喜びからか、何度も照れ笑いを浮かべた。紺色のスーツに水色のネクタイをビシッと決め、会見場に登場。「緊張感があった」という初の契約更改を終え「ローテーションをしっかり守ったということを評価してもらいました」。今季1600万円から2700万円増の4300万円で1発サイン。これまで広島の新人では12年オフに野村が1500万円から4000万円となったのが最高の上げ幅だった。増額分については「支えてくれたいろんな人たちに恩返ししたい」と話した。

新人最高昇給にふさわしい奮闘ぶりだった。即戦力右腕と期待され、開幕から先発ローテーションの軸として回り、18試合に登板。2完投を含むチームトップの10勝を挙げた。終盤は中日大野雄と最優秀防御率を争い、最終的にリーグ2位の1・91と新人では抜群の成績。森下は「1年目から『やってやる』という気持ちで入ってきた。それが結果に表れたのがうれしい」と振り返った。

創意工夫で1年目のシーズンを乗り越えた。「しっかり腕を振るというか、指のかかり方だったりを自分の中でつかんだ感じです」。模索を重ね、終盤にかけて直球の質を向上。さらに「手応えはあった」という武器の1つである縦に曲がるカーブは、動画サイトで楽天岸の握り方などを研究して磨きをかけ、好投につなげることができた。

来季目指すは開幕投手だ。2年連続で務めた大瀬良、今季8勝の九里、明大の先輩野村らライバルは多いが「自分も開幕を投げたいという気持ちがある。投手陣の中の競争に加わりたい」と強い意欲を示した。「1年目より2年目の方がプラスになるように。来年も2桁勝って、防御率も今年に近い数字を残したい」。頼もしいスーパー右腕が、鯉のエース街道を突き進む。【古財稜明】