ロッテ高浜卓也内野手(31)は今秋、コロナ禍で主力野手が多数離脱しても、1軍に呼ばれなかった。育成選手契約だからだ。

「チームが必要としているところで(1軍に)上がれないので、悔しいところはありますね。もう選手としては厳しいのかなとか考えたことはあります」

育成選手で再契約した21日、心境を率直に明かした。強打の遊撃手として、横浜高から07年高校生ドラフト1位で阪神入団。FA移籍した小林宏之投手の人的補償で、11年からロッテに移った。新天地で打力を示しつつも、腰の痛みが強まり19年冬に手術。今季から育成契約となっていた。

入れ替わるように、同じ内野手の茶谷が支配下登録に。今年6月には和田も、同じリハビリ組の右腕大嶺も8月に支配下に戻った。「いろいろ複雑な思いは…言葉にするのは難しいですけど」。31歳、野手の育成選手としては年齢が高い。「他の育成選手とは違って若いわけではないですし、1日でも早く戻らないといけない立場なので」。焦り、イライラも募った。

何度かの、松本球団本部長からの連絡に救われた。「戦力として考えているから」。2軍では92打数で4本塁打、長打率は4割2分4厘。「今まで以上にバットを振れる」と回復の手ごたえは十分だ。阪神時代に背中を追った鳥谷と競い合うためにも、1軍ベンチに入る権利がほしい。「1日でも早く戻りたいです」。会見の最後にもう1度、強く願った。【金子真仁】

◆高浜卓也(たかはま・たくや)1989年(平元)7月6日生まれ、佐賀県出身。横浜2年センバツで優勝。07年高校生ドラフトで中田翔(日本ハム)の外れ1巡目で、横浜と2球団競合して阪神入団。11年開幕前にロッテへ移籍。今季は1軍戦出場がなかった。184センチ、84キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は1000万円。

 

◆高浜のロッテ移籍 阪神は11年1月末、FA宣言していたロッテ小林宏投手を獲得。ロッテは人的補償で内野手を要求する方針を固めた。プロ3シーズンで1軍戦出場のなかった高浜だったが、11年はキャンプ紅白戦とオープン戦計6試合で14打数8安打、打率5割7分1厘と急成長。プロテクトから漏れていたことから、3月初旬にロッテ移籍が決まった。高浜は「阪神から『戻ってこい』と言われるような選手になりたい」と語った。真弓明信監督も「もったいない。いい状態だったのに」と嘆いた。なお中継ぎ役に期待された小林宏は11年42試合に登板も、12年は1軍戦登板なし。在籍2年で戦力外となったため、高浜を惜しむファンの声は強かった。