ロッテのドラフト4位・河村説人投手(23=星槎道都大)は、同じ大卒ルーキーからも「河村さん」と呼ばれている。高校卒業時点では1学年上だった。

白樺学園(北海道)で甲子園に出場し、亜大に進学した。「レベルが高い中でやれるので、高められているんだろうなという印象があります」と振り返る。しかし1年夏に中退。翌春に地元北海道の星槎道都大に再入学した。

「星槎道都大はある程度練習時間も短いですし、自分でやる時間の方が長かったので。自分自身で考えて行動するのがプロに入ってから大事だと思って、そういう入ってからの過ごし方は地方で身に付いたのかなと思っています」

中退を認め、次へのサポートもしてくれた亜大への感謝は今でも忘れない。1年間公式戦に出場できないリスクを覚悟しての新たな環境。調整方法なども自身で考えながら、よりよいものを追求していった。自立心も高まり、最速150キロのスピードとプロの切符を手に入れた。

再入学当時、同じ“新1年生”は1つ下の年齢だった。1年前に地元校で甲子園に出場したとはいえ、半分以上の新入部員は自分を知らない。「タメ口の人もいましたし、最初は自分もそれがすごく嫌だったんですけど」と打ち明けながら「年齢が増えるにつれて器が広くなった…んですかね、大丈夫になりました」。心も大きくなった。

そして今、再び同期入団組から「河村さん」と慕われながら、新人合同自主トレで汗を流している。「自分の中ではあまり壁は作らずやっていきたいなと思います」。柔らかで穏やかな表情と声。壁はどこにも見えない。【金子真仁】