阪神の開幕ローテーション入りを狙うドラフト2位伊藤将司投手(24=JR東日本)が紅白戦で1イニング3人斬りの実戦デビューを飾った。

紅組の4番手として登板。先頭の北條を2球で一ゴロに仕留めると小幡はカウント2-2からこの日最速の141キロを内角低めに決め見逃し三振。最後は同4位栄枝裕貴捕手(22=立命大)から低めチェンジアップで空振り三振を奪った。「高さもよかった。一番いいチェンジアップだった。今日は変化球を低めに投げようという意識でやって、3人で抑えられてよかった」と冷静に振り返った。

わずか13球だったが、ネット裏のスコアラー陣は警戒を強めた。右手のグラブを高々と上げ、左手は打者から見えづらく、ピュッと出てくる。DeNA加賀スコアラーは「打者からしたら一瞬で球が出てくる感じ。グラブを(高く)上げるのは昔で言えば広島の大野豊さん、右で言えば(DeNAの)三浦(大輔)監督。三浦監督の左バージョンみたい」と、広島で通算148勝138セーブを挙げたレジェンド左腕と、通算172勝のハマのエースに重ね合わせた。

実戦向きだとこれまでも高く評価してきた矢野監督は「手持ちの武器が多い。どうやって抑えるかというパターンをいろいろ持てる投手。投球に余裕がある。波が少ない投手かなとは思う」と話した。好不調に左右されず試合を作れる力は、先発ローテーションを任せるには大事な要素となってくる。

紅白戦後に伊藤将は小幡との対戦を振り返った。「どういう配球で来るかと向こうも考えていたと思う。そこで裏をかいたり投球はできたかなと思います」と、会心の見逃し三振を振り返った。クレバーさが光る即戦力左腕。今後は実戦で長いイニングを投げ、首脳陣の信頼を勝ち取っていく。【石橋隆雄】

◆伊藤将司(いとう・まさし)1996年(平8)5月8日生まれ、千葉県出身。横浜では2年春からエースとして活躍し、同年夏の甲子園では初戦(対丸亀)で14三振を奪い完投勝利。3年春の甲子園では初戦で八戸学院光星に敗れた。国際武道大からJR東日本に進み、20年ドラフト2位で阪神入団。178センチ、85キロ。左投げ左打ち。