いよいよ実現する“夢の対決”で多くを吸収する。日本ハム吉田輝星投手(20)が20日、練習試合の楽天戦(金武)で2666日ぶりの日本復帰登板を予定する田中将大投手(32)との初対決に臨む。先発で複数イニングの登板を見込む右腕は19日、沖縄・名護キャンプ休日ながら体を動かし、準備を整えた。目標としてきた投手の1人、田中将との投げ合いに闘志を燃やした。

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大一番を前にした吉田が1軍キャンプ休日の沖縄・名護のサブグラウンドに姿を現した。キャッチボールでは先輩加藤を相手に、状態を確認するように力強い真っすぐを投じるなどして汗を流した。練習後に応じた取材中には報道陣を前に「調子悪いっすわ」という言葉を連呼。「一応練習はしたので準備は万全なはずなんですけど」。燃えているはずの心の内はあまり表に出さず、静かに闘志を燃やした。

相手先発はメジャーから8年ぶりに古巣楽天に復帰し、2666日ぶりに日本で登板する田中将。前のクール中には「一応対戦という形にはなるんですけど、ピッチングも勉強できるところはたくさんあると思う。余裕があればみたい」と口にし、投球術やフォームなど多くを吸収するつもりでいる。

田中将は吉田にとって目標としてきた投手の1人でもある。地元秋田で野球を始めた小学生の頃から、同じ東北の仙台を本拠地とする楽天で、当時のエース岩隈とともに活躍していた姿は今でも記憶に残っている。「小学生からずっとですね、田中将大さんの」。自身も理想とする強い直球や、無駄のないフォームを求める中でテレビ映像や動画はこれまで何度も見てきた。

注目が集まる一戦を前に栗山監督は「これだけチャンスを与えている中で、どういうふうに投げるのか楽しみ。結果を出して、自分で自分のポジションを取ってもらう」と期待をかけた。キャンプも中盤から後半にさしかかり、多少の疲労も出てくる頃だが「その中でいいボールを投げないといけない。シーズン中のダメなときの練習にもなる。力みすぎず、投げたい」。日米で実績を残してきた右腕との背番号「18」同士の投げ合い。その時間を貴重なものにする。【山崎純一】