ソフトバンクの韋駄天(いだてん)周東佑京内野手(25)が、豪快な1発で巨人を倒した。3-3で迎えた6回、1死一塁からオープン戦初アーチの決勝2ランを右中間テラス席に運んだ。2年連続「1番二塁」の座を射止めるため、磨いてきた打撃が火を吹き、3打点の活躍。昨季の盗塁王が、足だけでない、打撃力もアップして、今年もチームを引っ張る。

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自慢の快足を披露するまでもなかった。周東がバットで快音を響かせた。3-3同点の6回1死一塁、巨人ドラフト1位平内から、右中間のテラス席に飛び込む1発。オープン戦とはいえ、昨年セ・リーグ覇者の巨人から勝利を呼び込む決勝2ラン。軽やかにダイヤモンドを1周し、一塁側ベンチでナインの祝福を受けると、握り拳を作った。

周東 アピールしないといけない立場なので。まだレギュラーでもない。キャンプから振る量は増えている。成果は少しずつ出せている。

キャンプでは右肩の不調もありB組スタート。途中からA組となり、小久保ヘッドコーチの指導の下、振り込んできた。オープン戦に入っても「2部練習」で打ち込んでからゲームに入っている。「あきらかに今年は量は増えている。スイングは速くなった」と打撃向上に手応えを感じていた。昨年つかんだ「1番二塁」の定位置を手離すわけにはいかない。足だけでなく、キャンプで磨いてきた打撃力を発揮した。

2回の守備では記録に残らない“ミス”を犯していた。1死満塁で二ゴロを処理して併殺にしようと、遊撃今宮にトスしようとしたが球が手に付かず落球。なんとか二塁はアウトにしたが3失点目を許した。6回には二塁ベース付近への難しい当たりをダッシュして好捕するファインプレーを見せ、その裏に勝ち越し弾を放って見せた。「落ち着いてプレーしないといけないのにミスしてしまった。状況判断していかないといけない」。レギュラー取りに向け、ミスは必ず取り返す。攻守に執念を見せた。

夏には東京五輪が控えている。キャンプでは稲葉監督の視察も受け、侍のユニホームにも人一倍意識はある。「代走専門」だった19年のプレミア12から「ジャパンの1番二塁」への変身を狙う。【浦田由紀夫】

▽ソフトバンク工藤監督(周東の決勝2ランに)「小久保ヘッドとエンドランかけてみますかと話していたら打ちましたね。彼の良さは四球、安打で塁に出て走る。投手に集中させない。そういう期待の部分も大きいですが、ホームランも時にはいいですね」

▽ソフトバンク今宮(8番ショートで先発出場し2安打)「チーム打撃を心がけてヒットを打つことができた。打撃もいい状態が続いていると思う。コンディションをしっかりと整えてシーズンに向けて1日1日、集中していきます」