獅子男がヒーローになりそびれても、下を向くことはなかった。同点の7回1死二塁の場面、9番山田遥楓内野手は初球をねらい打ちした。右翼線へ運ぶ一時勝ち越しの適時二塁打。9回に追いつかれ、殊勲のお立ち台も消えてしまったが「真っすぐが強いピッチャーだったんで、とにかく。真っすぐに打ち負けないようにと思った。あれ右方向意識してなくて、普通に打ちにいってあそこだったんで、たぶん逆方向とか意識していたらファウルだったんでよかったかなと思います」と手応えを口にした。

第1打席ではファウルを8球打ち、12球投げさせる粘り勝ちで四球を選んだ。その姿を見た辻発彦監督は7回のチャンスで代打を送らず、山田のバットに託した。山田は「なかなか結果が出ていない中、スタメンでこう使ってもらって、結果を残したい一心で毎日試合に取り組んでいます」。気持ちをバットに乗せた。

二塁ベース上では、興奮のあまり拳を振り上げる「獅子男」ポーズを決めた。自主トレから弟子入りし、師と仰ぐソフトバンク松田の前で奮闘。熱男と獅子男がともにスタメン出場した今カードでは、師匠の背中を見続けていたという。「松田さんは本当にすごいですね、いつも。本当に鼓舞されていて、チームを。サードで毎回こっち(三塁ベンチ)をちらちら見ていて、これが熱男だというのを見せつけられましたね」と、真剣勝負の場で感じ取っていた。

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