あぁ、1億円が…。阪神がロッテとの日本シリーズに敗れ、1億円の「損害」が生じることが27日、分かった。日本一を逃がしたことで、日本一ロゴや記念グッズの製作費など約5000万円の赤字が発生。さらに、27日の第5戦(甲子園)が幻になったため、グッズ収入や阪神電車の運賃収入などで約5000万円を儲け損ねた。グラウンドで4連敗を喫した阪神は、営業面でも踏んだり蹴ったりだ。

4連敗で日本シリーズはあっけなく終わり、阪神から1億円が消えた。落胆したのは、選手、ファンだけではない。「日本一特需」を期待した球団営業部も、表情は浮かない。

「こればかりは仕方ないですが…。莫大な金がかかっている。どうしても1つの賭けになってしまう」

営業部では日本一になった場合を想定して、すでに記念ロゴ製作を発注済み。タオル、メガホンなど日本一グッズや阪神電鉄の車両の中吊りポスターなどもスタンバイOKだった。それらに生じた製作費が、日本一を逃がしたことで、すべて赤字に転じた。「すべてお蔵入りになってしまいました。損失は2000〜3000万円? そんなもので済みません」(営業部)。約5000万円の“先行投資"が赤字と化した。

仮に、阪神が26日に勝ち、この日、甲子園で第5戦が行われていれば、違った展開になっていた。ゲームがあれば、グッズ収入や阪神電車運賃収入などをあわせると、約5000万円の収入が見込めた。これが幻になってしまったわけだ。

大フィーバーの予兆はあった。甲子園球場に隣接するタイガースショップアルプスでは日本シリーズ第3戦が行われた25日に今年3月に開業以来、最高の売り上げを記録。採算ベースの150万円を上回り、1000万円に迫る勢いだった。それだけに、関係者の嘆きは大きい。

「出荷もストップをかけました。もう届いているグッズもあったんです」

20年ぶりの日本一に輝いていれば「特需」も見込めた。大阪市内の阪神百貨店のセール収入も加えれば、総収入は計り知れない。「ドル箱」の日本シリーズがあっけなく終わり、すべては水泡と帰した。残ったのは赤字と嘆き節ばかりなり…。日本一を逃がした代償は大きかった。

 ああ無情。第5戦観戦の1泊ツアーに申し込んでいた阪神ファンがこの日、せめての思い出にと甲子園を訪れた。男性は「会社を休んで来たのに、ついてないです。仕方ないですね」と暗い表情だった。球場周辺には記念写真を撮るファンの姿が何人も見られた。また、球団事務所には、入場券の払い戻しに関する電話の問い合わせが目立った。甲子園球場正面の前売入場券売場の横にも張り紙で説明。営業終了後も、ビラを見ていくファンが絶えなかった。今月27日から11月2日までの間に、甲子園球場か購買した店舗で払い戻しを行っている。