阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)がDeNA戦(甲子園)でともにプロ初の猛打賞、4打点と自らのバットで名誉挽回した。前日23日はゴロを後逸して一挙4失点につながる初失策。一夜明けて「悔しさ」を糧に結果を示した。大型新人を含めた打線は今季初の先発全員安打、ともに最多の18安打13得点で連敗を3でストップ。貯金を再び10とし、敗れた2位巨人と2ゲーム差に広げた。

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気持ちが乗り移ったように詰まった当たりは右前で弾んだ。「昨日の悔しさをぶつけました」。1回に1点先制しなお1死満塁。上茶谷に苦手な内角を突かれたが、146キロ直球にうまく腕をたたんで2点適時打。前夜に「やり返せるチャンスはある」とハッパを掛け、いつもの「6番右翼」で送り出した矢野監督は、塁上の佐藤輝を指さして喜んだ。2回の無死満塁では左腕桜井から中堅フェンス直撃の2点適時打。プロ初の4打点を稼いだ。

前日23日の5回1死満塁の守備で右前のゴロに猛チャージしたが、グラブの下をスルリ。打球はフェンスまで達し、打者走者の神里まで生還を許して4失点。敗戦を決定づける失策に矢野監督から「プロとして恥ずかしいプレー」と厳しく指摘された。佐藤輝は「やってしまったことは返ってこないんで。次は絶対しないようにどうしたらいいかを考えた」と振り返る。試合前練習では筒井外野守備走塁兼分析担当コーチから右翼で付きっきりで指導を受けた。「グラブを下につけるとか、天然芝なので頭に入れながらやりました」。ゴロのノックも受けて動きを確認。同じ失敗をしないよう時間をかけた。

打っては6回に右中間へ低いライナーで二塁打を放ち、プロ初の猛打賞。落ち込まずすぐに結果を出した姿を、矢野監督は「昨日ミスした中でしっかり打ってくれたのは大きい」と褒めた。2回の中堅フェンス直撃の打球について、佐藤輝は「入ってほしかったけど、今日は浜風とは仲良くなれなかった」とやや残念そう。この日は右翼から左翼方向へ強めに浜風が吹いた。試合前のフリー打撃では33スイングで柵越え0も、中堅から左中間方向へ低く強いライナーを打っていた。しっかり捉えることに重きを置いた結果が、名誉挽回の1日につながったのかもしれない。

前夜は厳しいヤジを飛ばした虎党から拍手と声援を浴びる中、佐藤輝は伊藤将、木浪と一緒にお立ち台に上がり「気持ちいいです。日々勉強だと思っていろんなことを勉強しながらやっていきたいと思います」と成長を約束。打線爆発で3連敗をストップした首位阪神に、やはり6番佐藤輝は欠かせない。【石橋隆雄】

▽阪神井上ヘッドコーチ(佐藤輝の1回の2点適時打に)「満塁で2ストライクと追い込まれている中から、詰まりながらでも右前。あれはあいつの中で、ここは何とかしないといけないというようなものがにじみ出ていた」

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