広島に、頼れる男が帰ってきた。

新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性と判定されていた菊池涼介内野手(31)が、1軍復帰戦で「1番二塁」でフル出場し、2安打2得点と奮闘。「別に僕が何かしたわけじゃない。チームが勝てたことはうれしいですけど、僕の体は“延長15回”。しんどいですよ、久しぶりなんで」と言うが、走攻守でブランクを感じさせない活躍で勝利に貢献した。

セ界の首位打者は健在だった。6回無死二塁の打席では、意表を突く一塁方向へのセーフティーバントを試み、内野安打に。西川の左翼線への適時二塁打で先制のホームを踏んだ。8回の先頭で日本ハム宮西の直球を左中間にはじき返し、二塁へ。暴投で三進後、西川の投ゴロで三本間に挟まれたが、一瞬三塁へ戻るフェイクで三塁へ投げさせ、相手がもたつく間に本塁へ生還。「やれることをやった結果です」。技ありのプレーで貴重な追加点を奪った。

守っては3回1死一塁で、高浜の右前付近への飛球に滑り込んで背面キャッチを見せるなど、9度あった守備機会を完璧にこなした。佐々岡監督は「走攻守全てで引っ張ってくれた」とうなずいた。連敗は3でストップ。帰還した攻守の要が、体を張ってチームをもり立てた。【古財稜明】