「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦で、阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が2回に14号ソロを放った。交流戦はこれで4本塁打目で、巨人長野が記録した新人最多に並んだ。関西ダービーは負け越しとなったが、パ球団が相手でも怪物ルーキーに陰りはなかった。

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佐藤輝が交流戦の歴史にもその名を刻んだ。2回、オリックスの左腕山崎福の100キロのカーブを強烈な破壊音とともにかち上げた。白球は171キロの打球速度で小雨を切り裂いた。130メートルのアーチを描いてバックスクリーン右のスタンドへ消えた。この日は名物の浜風ではなく、左翼から右翼へ追い風が吹いていた。「速い球を待ちながら、しっかり遅い球についていけた。昨日(2日)は同じようにカーブにやられていたんですけど、今日は打つことができてよかった」。前日は左腕宮城に100キロ台のカーブで2打席飛球に倒れていた。反省を生かしての14号ソロだった。

本拠地での本塁打は無観客で行われた5月2日広島戦での8号満塁弾以来約1カ月ぶり。Zポーズで出迎えた矢野監督も「緩いボールを打つのも輝の能力。初めて対戦する投手から打つのは簡単ではない」とたたえた。佐藤輝が「甲子園で本塁打を打ったのも久しぶりだったので、ファンのみなさんの前で打つことができてよかった」と話すように甲子園のファンの前では4月25日DeNA戦での6号2ラン以来となった。

交流戦4本塁打は10年に巨人長野が記録した交流戦新人最多本塁打に並ぶタイ記録。この日の記録更新も期待されたが、同点の6回2死三塁では今季3度目の申告敬遠で歩かされるなど、相手の警戒は厳しくなるばかりだ。長野が打った当時は24試合制だったが、現在は18試合。まだ9試合を残しており、記録更新は時間の問題だ。

大山と今季2度目のアベック弾も勝利に結びつかず、関西ダービーは負け越しとなった。4日のソフトバンク先発は石川。球界のモノノフ(ももいろクローバーZファンの愛称)対決となる。3月5日のオープン戦では初打席初本塁打を逆方向へたたき込んでいる。公式戦ではさらにハイレベルな対決となりそうだ。「また対戦相手も変わりますし、目の前の試合に集中して、点をたくさん取れるように頑張ります」と気持ちを切り替えた。天気予報は雨のち曇り。この日のように甲子園には再び追い風が吹きそうだ。【石橋隆雄】

▼阪神のルーキー佐藤輝が14号ソロ。阪神の新人では48年の別当(13本)を抜き、69年田淵(22本)、80年岡田(18本)に次いで単独3位となった。また、交流戦では4本目。交流戦で新人がシーズン4本塁打は10年の長野(巨人)と並び最多。10年の交流戦は24試合制だったが、今季の交流戦は18試合。佐藤輝は9試合で4本打っており、残り9試合でどれだけ伸ばせるか。