阪神梅野隆太郎捕手(30)が宣言通り、21年虎の強さを体現してみせた。

2回に1点を先制し、なお1死二塁。貪欲に追加点を奪いにかかった。難敵メルセデスを相手に1ボール2ストライクからフルカウントまで持っていき、スライダーを三塁線に引っ張る。「何とか食らいついて打つことができました」。難しいバウンドで三塁岡本和のグラブをすり抜け、適時二塁打で2点目を奪った。

30歳の誕生日を迎えた前日17日、東京五輪行きのチケットが届いた。侍ジャパン内定メンバーだった広島会沢が左足の負傷で出場を辞退。「力を貸してほしい。金メダルを勝ち取ろう」。稲葉監督から緊急招集の連絡を受け、気持ちを高ぶらせていた。

「日の丸を背負って戦いたいという意思はずっとあった。本当に光栄。それに恥じないプレーをしていかないといけない。いい緊張感、プレッシャーと戦いながら、自分らしさをどんどん出せるようにしたい」

福岡大4年時には大学日本代表の主将4番も任されたが、プロ入り後では初の代表選出。この日の正式発表を受け、燃えないはずがなかった。北京五輪経験者の矢野監督からも「自分らしく戦ってこい」と背中を押されて迎えたメモリアルデー。早速、「御礼打」で甲子園を沸かせた。

これで阪神から青柳、岩崎に続いて3人目の選出。「絶対に得るモノはある」と大舞台を待ちわびつつ、「それは先の話になる。まずは目の前の試合を戦っていきたい」と強調する姿勢がまた頼もしい。

「気の緩みがないように」

「タイガースは強いと思ってもらえるような試合をして…」

この日は試合前の言葉通りの働きでチームを大勝に導いた。気持ちを切り替えるタイミングはまだ先。7月中旬まで虎の首位快走を加速させた後、心身ともにベストの状態で金メダルを追いかける。【佐井陽介】

〇…矢野監督は梅野の侍ジャパン追加選出を喜んだ。自身も北京五輪を経験しており「日の丸を背負うというのは特別なこと。オレ自身もあそこで戦えたことは後々プラスになって、現役生活に生かせることがたくさんあった」。東京五輪に向けて「リュウもそういうメンバーと一緒に過ごすことで刺激も受けると思う。プライドと気持ちを持ってリュウらしくやってくれたら」とエールを送った。

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