こんな日だから「言葉」で、伝えたい。6月の第3日曜日は父の日。プロ野球界で花開こうと奮闘する若手選手が、父から幼少期に送られた厳しくとも愛のある言葉を回想した。さらに、日頃は面と向かって言いづらい父への感謝の言葉も披露した。

<巨人大江竜聖>

「感謝は行動で示せ」。巨人大江竜聖投手(22)の胸には、人としての土台を築いてくれた、父広志さん(59)からの言葉が残っている。中学3年の終わり。反抗期で素直になれなかった時に、ハッとさせられた。「ちょうどいい機会だなと思いました」と、二松学舎大付への進学に伴い寮生活となる環境の変化も重なり、心を入れ替えようと決めた。

3兄弟の末っ子。小学3年の時に両親が離婚し、男手一つで育ててもらった。父の日にはお決まりのプレゼントを贈る。「ジャイアンツが球団のショップで売っている父の日ギフトを毎年買っています。誕生日か父の日か忘れましたが、財布をプレゼントしたこともあります」。入団会見時に約束した“分厚い焼き肉”を食べにも「行ってますね。毎年食事には結構行ってます」。身近な存在であっても、日頃から感謝の気持ちを行動で示してきた。

日常生活でも変わらない。当たり前のことを当たり前に実行する。あいさつは当然きちんとする。「ちょっとでもゴミを見つけたら拾ったり、できることはやろうと思ってます」。意識せずとも、教えが身についている。

入団4年目を迎えた昨年、寮を出て、人生初の1人暮らしを始めた。「お父さんは仕事をしながらご飯を作ってくれたり、家庭のことをしている。こういう立場になって、やっぱりすごいと思いました」と苦労が身に染みる。尊敬できる自慢の父親へ、今贈りたい言葉は-。

大江 ちっちゃいとき、何不自由なくさせてもらった。それでここまで来られたのかなって思います。だから感謝しかないです。

照れずに、堂々と口に出せた。【小早川宗一郎】

◆大江竜聖(おおえ・りゅうせい)1999年(平11)1月15日、神奈川県座間市生まれ。小学生時代は父広志さんが監督を務めるイーグルス座間でプレー。二松学舎大付では1年夏と2年春に甲子園出場。16年ドラフト6位で巨人入団。昨季からサイドスローに転向し、1軍定着。173センチ、81キロ。左投げ左打ち。