阪神の7回裏の逆転劇にタイムがかかった。

1点を追う7回2死一、二塁。2番中野の代打北條の3球目が暴投となり、二、三塁に好機は広がった。北條が4球目を空振りし、カウント2-2になったところで巨人ベンチから原監督と桑田投手チーフコーチ補佐が飯塚球審のもとに歩み寄った。3人の会話のあと4人の審判が本塁ベース付近に集まった。

原監督が、審判が何を言っているのか分からない甲子園のスタンドは騒然となった。再び原監督が出てきて、2-2の状況で左腕高梨から右腕の鍵谷に交代を告げた。北條は鍵谷のスライダーに空振り三振に倒れチャンスは生かせなかった。

試合後、責任審判だった丹波二塁塁審は「最初、打者が北條選手の時に、球審が同一打者の時は投手は代えられないんで。最初のマウンドを桑田コーチが行ったのが打者・北條の時と思って最初断ったんです」と説明した。公認野球規則には「監督(またはコーチ)が投手のもとへ行った後、ファウルラインを越えて引き上げたら、その投手は、その打者がアウトになるか、走者になるか、または攻守交代になるまで投球した後でなければ退くことはできない。ただし、その打者に代打者が出た場合は、この限りではない」と明記されている。

飯塚球審は代打北條が出た後に桑田コーチがマウンドに行ったと思い、断った。だが、実際には高梨が1番近本に死球を与えた直後に桑田コーチはマウンドに行っていたため、2番中野に矢野監督が代打北條を告げる前だった。審判4人で「代打北條の前」を確認したために、同一打者には当たらず、カウント2-2からの投手交代を認めた。