オリックス吉田正尚外野手(27)が日刊スポーツ独占コラム「頂に駆ける」の第3回を寄稿した。「マイナビオールスターゲーム2021」のファン投票最終結果が28日に発表され、両リーグ最多得票で3回連続3度目の選出。阪神佐藤輝やエンゼルス大谷といった年下の怪物スラッガーに刺激を受け、球宴での大暴れを誓った。【聞き手=オリックス担当・真柴健】

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日刊スポーツ読者の皆さん、オリックスの吉田正尚です。いつも温かい応援ありがとうございます。また、たくさんのファン投票もありがとうございました。

ギータさん(柳田)が最初、上でしたよね。僕、ずっと2番だったので、あまり意識はしてなかったんです。まさか、最後に「1位」とは…。すごく光栄です。最多得票? 正直、サトテルくん(佐藤輝)かなと思っていました(笑い)。

彼は結果も出てますし、魅力ある選手。自分が同じ立場だった時、ルーキーで、こんなにできてたかなと。1年目から本当にすごいなと思いますよね。体の大きさ、スケール、タフさもそう。スイング1つ1つも。打撃練習でも試合でも、みんなが「見たい!」という気持ちになるじゃないですか。そこが、プロ野球選手として、大切な魅力ですよね。その1つのスイングだけでファンを魅了する。誰もが、毎打席を気になる。インパクトを十分に残してますよね。

メジャーの大谷選手もそう。前例のないこと、ほとんどをやってしまってますからね。二刀流。投手と打者で…。そこは前人未到と言いますか、本当にうらやましい限りです。完全に。体も、パフォーマンスも、顔もかっこいい(笑い)。スタイルなんて、9頭身ぐらいあるんじゃないですか? マジで、かっこええ…。うらやましいの一言ですよね。僕も今年で28歳。年下の選手からも、すごく刺激をもらいますね。僕も負けないように、全力プレーで頑張ります。

三振しないことを取り上げてもらうこと(※1)がありますが、入団時から三振数より四球が上回ることを心掛けています。僕は、最終的に、塁に出ることが「打席の中での勝利」だと思うんですよね。ヒットでも、四球でも。毎打席、何かコトを起こすために、打席に向かってます。ここまで経験してきた中で、それが一番必要なんだと。カウントを追い込まれたら、しっかり逆方向にも。ゾーンを広げて対応して、その積み重ね。2ストライクになれば、相手のウイニングショットを打っていかないといけない。まずはカウント勝負。自分を優位に持っていければ、ヒットを打てる確率も上がっていく。そんな心掛けでやっています。

昨日は打てたのに、今日は打てない…とかね。シーズンは、その繰り返し。毎日、次が大事。どう修正するかを考える。最終的な目標は「優勝」という大きなものがありますからね。1試合1試合、白星の積み重ねだと思います。

オールスターは勝ち負けというよりは楽しんでもらう場所。投票してくださった方々の、苦労に報いるためにも、ホームランを打って、熱心なファンの皆様に喜んでいただけたら。一生懸命、頑張ります!(オリックス・バファローズ外野手)

 

(※1)吉田正は28日現在、271打数で14三振。打数に占める三振の比率は5・2%で、これは両リーグの規定打席を満たす選手で最も低い数字だ。現在の本塁打数は15。三振数より本塁打数が多いのも、両リーグの規定打席到達者中では吉田正だけである。

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<取材後記>

普段はクールな吉田正も、思わず声を上げたという。今月、東京五輪選出の連絡が入った際に、珍しく拳をグッと握った。「素直にうれしいですよね。(一報に)めっちゃガッツポーズしちゃいましたよね」と照れた。

日頃は逆転本塁打を放っても、劇的勝利を収めても表情を変えない。「あまりグラウンド上で一喜一憂したくないなと。元々、感情を表に出すタイプではない。それに、相手に敬意を持ちながらプレーしたいなと。ガッツポーズとかベンチで悔しがったりするのは、自分のプレースタイルではない」ときっぱり。

格別の思いだった。「嫁さんにも、両親にも、みんなに感謝を。僕よりも喜んでいるかもしれません。自分だけじゃないと改めて感じた瞬間でした」。7月7日には長女が1歳を迎える。「金メダルをとってみせられたら」。正尚パパが、頂を目指す。