七夕の夜、31分の中断を含む雨中の激戦を制した。日本ハムは7日西武11回戦(旭川)で、今季初めて“ショートスターター”で勝利。先発のロビー・アーリン投手(30)が3回無失点と流れを作り、第2先発のドリュー・バーヘイゲン投手(30)へつないだ。6回以降は4投手が無失点でしのぎ、2-1で2連勝。7戦連続無失点の守護神、杉浦稔大投手(29)が16セーブ目を挙げた。

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細かい雨が次々と天から落ち、たっぷりと水蒸気を含んだ空気は、煙ったように選手たちの視界を遮った。ぬかるんだマウンドで、日本ハム投手陣が山賊打線を相手に踏ん張った。ダブル先発で臨むショートスターターで、今季初めての白星。最後は9回、守護神の杉浦が、途中出場の山川、愛斗、外崎を3者凡退に仕留め、1点のリードを守り切った。

前半戦も残り1週間。先発投手の登板間隔があくことから、総力戦を決めていた。先発アーリンは、3回までというゲームプラン。5月23日に西武相手に来日初勝利を挙げている技巧派左腕は「カーブとチェンジアップを有効に使うことが出来た」と、この日も山賊を緩急で幻惑した。3回2安打無失点4奪三振と、三塁を踏ませない投球で任務を完遂すると、4回からは第2先発のバーヘイゲンが登場。5回に1点を失ったが、6回以降は河野、堀、B・ロドリゲス、杉浦とブルペンメンバーが無失点リレーでつないだ。

開幕からチームはなかなか大きな波に乗れず、最下位に沈む。せっかく景気の良い勝ち方をしても、翌日以降につながらないということが、たびたびあった。この日の試合前には「ここから行けるんだって思った時に、ことごとく(負ける)…」と嘆いていた栗山監督だったが、試合後は一転、笑顔だ。

2年ぶりの旭川開催で、2カードぶりの2連勝。指揮官は「最後まで応援してもらって…。いろいろな人の思いを感じた。その思いが、今日は勝たせてくれたと思う」。連日の雨にもかかわらず、傘を差し、雨がっぱに身を包みながら声援を送ってくれた3000人超のファンや、運営に関わった全ての人に、感謝を口にした。「織り姫様に、よろしく言って下さい」。雨雲に星空こそ遮られていたものの、七夕の夜に、チームの願いは天に届いた。【中島宙恵】

 

▽日本ハム河野(6回から登板し二、三塁とピンチを背負うも無失点)「リードを保ったまま次につなぐように、それだけを意識して投げました」

▽日本ハム堀(7回から登板し1回無失点)「雨がひどくなってきたなというのは自分でもわかっていた。なんとかそういう悪い条件でも無失点で抑えられたのはよかった」

▽日本ハム・Bロドリゲス(8回から登板し無失点)「チェンジアップとシンカー、カーブのコンビネーションがうまく使えた。とてもよく投げられた」

▽日本ハム杉浦(9回に登板し無失点)「高校最後の夏はここで終わっている。それ以来のスタルヒン球場ということで、すごく懐かしさもあった。いい姿をしっかり見せたいと思って気合を入れて投げました」