自力V復活弾だ! 広島坂倉将吾捕手(23)が決勝弾を含む4打点で打線をけん引した。同点の3回に中日福谷から勝ち越しの4号3ラン。5回には、左前適時打でリードを広げた。22日から5番に定着する若手がチームを3連勝に導き、チームの自力優勝の可能性が復活した。

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しっかり押し込んだ左手に、確かな手ごたえがあった。同点の3回2死一、三塁。坂倉は、カウント2-1から中日福谷の甘く入った直球を振り抜いた。右中間席まで伸びる打球に、悠然とダイヤモンドを回った。シーズン自己最多となる4号は、今季初めて右方向に描いたアーチだった。

「1打席目(1回2死二塁で左飛)にやられたので、ここはやり返すという思いで打席に立ちました」

3点リードの5回1死一、二塁でも打点をマークした。中日2番手、左腕橋本の外角真っすぐに逆らわず流し打ち。三遊間を破った。「結果が出ているうちにしっかりいっぱい打てるように頑張りたいと思いますし、チームのためになる1本を多く打てるように頑張りたいなと思っています」。今季最多タイの1試合4打点で打線をけん引した。

6月9日から捕手と一塁の併用でのスタメン出場が続く。打順は同22日から5番に固定された。「チャンスが多くなると思うし、1打席1打席、しっかりいい結果になるように頑張りたい」。主砲鈴木誠の後を任された責任感を口にする。阪神佐藤輝や楽天早川など大卒新人と同学年だが、坂倉には昨季まで144試合に出場した経験がある。プロで味わった成功と失敗が、今季の糧となっている。前半戦1試合を残し、打席数や安打数、本塁打数はすでに自己最多を更新した。

慣れない一塁でも、必死だ。プレーボール直後の1回。先頭京田の一塁線への鋭い打球に飛びつき、先頭の出塁を防いだ。抜けていれば、相手に主導権が渡っていた可能性もある。「迷惑をかけないように」と懸命に打球に追う姿勢が好守を生んだ。

先発野手全員安打と、梅雨明けとともに広島打線にも活気が生まれた。4月27日以来の3連勝で自力優勝の可能性も復活した。佐々岡監督は「嫌な流れを断ち切る意味でも大きかった。流れを呼び込んだ」と中軸を任せる坂倉の1発をたたえた。苦しんだ前半戦もあと1試合。今季初の4連勝で、後半戦に弾みをつけたい。【前原淳】