日本ハムの北海道移転に力を注いだ今村純二氏(83)が12日、福岡県春日市内の自宅で息を引き取った。02年10月に球団社長に就任し、04年の本拠地移転に尽力。生まれは長崎の九州男児だが、会長、相談役と長きにわたり、球団の北海道密着に貢献した。相談役を退いた10年には、北海道から知事感謝状が贈られている。

球団移転前までは、圧倒的に巨人ファンが占めていた北海道。移転の目玉として、メジャー帰りの新庄獲得の旗振り役となった。「家庭の財布を握っているのは女性」と女性ファン獲得を狙いグッズ開発を行うなど、あの手この手で集客アップに着手した。移転元年の04年に130万人台だった集客は、4年後の08年に190万人を超えるまでになり、リーグ指折りの人気球団となった。

札幌市内に居を構え、相談役になってからも頻繁に試合に足を運んだ。相談役を退いた後も、14年秋まで札幌に住み、チームが地域に根差す様を見守り続けた。気さくな好々爺(や)で、いつも笑顔で練習を見学していたのが印象的だった。栗山英樹監督(60)は「最後はやっぱり愛情とか魂とか、そういう部分でしか(移転のような大仕事は)うまくいかないと思う」と故人の功績をたたえ「ファイターズをずっと愛して見ていてくれた」と、感謝した。【中島宙恵】