北海道にゆかりのある西武からの移籍コンビが、首位討ちのキーマンになった。日本ハムは8月31日、オリックス15回戦(札幌ドーム)で3-1で競り勝ち、後半戦初の3連勝。4回に厚岸町出身の佐藤龍世内野手(24)が移籍後、初打点となる先制の左前適時打、2-1の7回には、父が白老町出身の木村文紀外野手(32)が、移籍後、初安打となる追加点の左中間適時二塁打で勝利に貢献し、仲良くお立ち台に並んだ。

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西武から移籍してきた打のヒーロー2人が、本拠地の札幌ドームで、初めてお立ち台に上がった。まずは、4回に先制の左前適時打を放った佐藤だ。インタビュアーから「白老町出身」と紹介され「厚岸町です」と苦笑いで訂正も「いやあ、うれしいです」と、地元での殊勲打に感無量。7回に、追加点の左中間適時二塁打を放った先輩の木村は「こんなに広い札幌ドームで、皆さんが僕に注目してくれているのは良い気持ち。1988年9月13日生まれ、おとめ座の0型です」と、本拠地ファンに丁寧に自己紹介した。

道産子で、札幌ドームと同じ札幌市豊平区内にある母校、北海高OBの佐藤。木村も父の実家が白老町にあり、幼少期には何度も北海道を訪れていたという。そんな2人が、トレードで加入して、まだ半月ほど。この日、佐藤の先制適時打は移籍後、初打点。木村の適時二塁打は移籍後、初安打となり、栗山監督は「まずは、自分の特徴を思いっきり見せて欲しい。今日みたいに2人の2点で勝てれば、本当にうれしい」と、目尻を下げた。

2人の目の下には、いつも“絆のアイブラック”が一直線に引かれている。本来は太陽や照明のまぶしさを緩和するためのもので、札幌ドームで使用する選手は、ほとんど、いない。木村は、その理由について「(西武時代も)ずっと2人でファームの時からやってきたので、ファイターズに来てもやり続けようと」と佐藤との約束を明かし「これをやることによって、気持ちが入ります」。8歳の年齢差はあれど、強い絆で結ばれている。

お立ち台を降りると、両手でハイタッチし、互いの健闘をたたえ合った。佐藤は「まさか、キムさん(木村)と2人で、初めて同じ日にヒーローになるとは。引退する最後まで、ずっと忘れられない日になると思います」。2人で踏み出した、1歩。感動的な、新天地の記念日となった。【中島宙恵】