不惑の猛牛キラーが大きな白星を手にした。ソフトバンク和田毅投手(40)が5回77球、3安打2失点で3カ月ぶりに勝利を挙げた。

伏兵の1発で先制を許した。2回2死一塁。7番若月に先制の2ランを献上。「2点は取られたけども、何とか0点に抑えていけばと。5回で力尽きてもいいと思って投げた」。1点差に詰め寄った4回にリチャードがプロ1号となる逆転のグランドスラムを左中間スタンドにたたき込んだ。18歳も年下のメモリアル弾に背中を押された。「リチャードが打って感動した。絶対に0で抑えないと」。打者一巡の猛攻で大量6点をプレゼントされた。マウンドへのインターバルも長くなったが、集中力は切らさなかった。5回、先頭モヤは143キロの直球で空振り三振に仕留めた。2死から紅林に左前に運ばれたが、9番佐野皓を直球で中飛に打ち取った。

梅雨の交流戦で阪神から白星を挙げて以来の勝ち名乗り。五輪中断期間も、走り込みを欠かさず黙々と「勝負の秋」に備えてきた。先月には選手ロッカー室での盗難事件も発覚。和田も愛用のグラブなどを失う被害に遭った。アクシデントもしっかりと気持ちは切り替えた。オリックス戦通算31勝。現役最多の数字をまた1つ積み重ねた。「チームも自分もいい流れに乗っていけるようにしたい」。逆転Vに向け、ベテラン左腕はまだまだ腕を振り続ける。【佐竹英治】