日本ハム河野竜生投手(23)が、待望の今季先発初勝利を挙げた。楽天22回戦(楽天生命パーク)に先発。6回3安打1失点で、3勝目。後半戦から先発転向後は8試合目で初白星をマークした。チームは連敗を「2」で止めた。引き分け以下で自力でのクライマックス・シリーズ(CS)の可能性が消える一戦で、望みをつないだ。

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格別な喜びを、右手で握った勝利球が教えてくれた。河野が、今季の先発初勝利となる3勝目を挙げた。「先発で勝ちたい思いが強かった」。先発での勝利は、新人だった昨季10月31日オリックス戦以来。今季は開幕後2試合で先発も、リリーフの適性を見いだされて転向。後半戦から先発に再転向し、8試合目。ついに勝利をつかみ取った。

ひと味違った姿を見せたのは、2点リードの6回。連打で無死一、三塁にピンチを背負った。「気持ち的に引いちゃうと、やられる」と鬼気迫る心境で、たとえ打たれたとしても「そのままいけば6回3失点だし」と開き直った。プロ入り前に味わった「1点が許されない恐怖」が付きまとってきたが、ようやく吹っ切った。心のゆとりが無失点の結果に表れた。

余裕を証明するように、本人公認の新球「河野ボール」にチェンジアップの要素を強くした改良版を、ぶっつけ本番で投げてみせた。計3球投じて1三振を奪う手応えもあった。栗山監督は「あそこ(6回)を頑張れたのは、本人もすごい自信になると思う。いろんなことを感じながら、長く頑張って投げてくれた」とたたえた。

引き分け以下で、自力でのCS進出の可能性が消えていた一戦で、2年目左腕が望みをつないだ。試合前には29日先発の伊藤から「(早川の)10勝目を阻止して」と頼まれ、有言実行で投げ合いを制した。「それだけを思って投げました。大海さんに新人(の10勝)一番乗りを味わってほしかった」と思いを背負っていた。悲願の先発再転向後、さまざまな思いが詰まった初勝利。たくましくなった姿が、確かにあった。【田中彩友美】