今季限りで現役を引退する巨人大竹寛投手(38)が、ラスト登板の24日のヤクルト戦で投じた5球が感動を呼んだ。サンタナに対し、全球シュートを選択。首を振ってまでも、伝家の宝刀を続けた姿にも胸を打たれたが、実戦で投げたこと自体が奇跡に近かった。

今季は開幕1軍スタートだったが、3試合に登板したのみで3月31日に出場選手登録を抹消された。ファームでは6月に右ふくらはぎの筋損傷で故障班に合流。1度は2軍で実戦復帰したが、今度は右膝痛を発症した。一進一退のリハビリの中、10月は実戦登板がなかった。

22日の練習から1軍に合流したが、実は21日まで数日間球場には訪れず、自宅でのトレーニングのみだった。それでも、原監督が用意してくれたマウンドに向け、22日からは1軍で懸命に調整。周囲の心配とは裏腹に、全球シュートで己の生き様を示した。

ファームでの調整中は、ブルペンで右膝の痛みが少ないフォームを模索した。シーズン中は走者なしでもセットポジションだが、ノーワインドアップも試した。「チームが戦っている限り、僕も戦います。絶対にあきらめません」。携わった関係者に恩返しも込めた5球だった。【久保賢吾】