今季限りで現役を引退する巨人野上亮磨投手(34)は、中学時代の挫折をバネにプロ野球選手へとはい上がった。クラブチームに所属した中学時代は控え投手で、志望した強豪校への入学はかなわず、進路の再考を余儀なくされた。 「実は、その時に野球はもう中学で辞めようかなと思ったんです。プロになれるなんて思ってなかったですし、区切りをつけようかなって」 1度は“引退”を決めたが、新たに野球部を創部する神村学園(鹿児島)の挑戦を知って、自らもチャレンジすると奮い立った。女子硬式野球部は強豪だったが、男子は1年目。バス1台で練習試合で全国各地を転戦しながら、投手は野上ほぼ1人で完投を重ねる中で進化した。 初出場だった3年春のセンバツで準優勝。夏の県大会は大和(現DeNA)擁する樟南に敗れたが、右肘痛を抱えながら最後まで投げ抜いた。社会人野球の日産自動車を経て、08年ドラフト2位で西武から指名され、プロへの扉を開いた。 西武時代に2度の2ケタ勝利を挙げるなど、通算254試合に登板し、58勝63敗4セーブ、防御率4・03の成績を残した。1度は左アキレス腱(けん)断裂から復活。右肩痛でユニホームを脱ぐ決断を下したが、13年間を駆け抜けた。 「これまでは“野球少年”のような気持ちも持ちながらやってきましたけど、これからは“野球人”として、野球界に貢献できればと思います」。 【12~13年西武担当=久保賢吾】